本間宗究(本間裕)のコラム
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2016.9.1
イエレン議長のホンネ
8月26日の「イエレン議長の演説」には、たいへん驚かされたが、その理由としては、今までとは違い、「半分程度のホンネ」が語られていたからだ。つまり、今までは、決して「ホンネ」を語らず、単に、「歴代のFRB議長は、たいへん素晴らしい仕事をしてきた」、そのために、「従来の方針を引き継ぎ、雇用の確保とインフレの調整に邁進する」というようなコメントに終始し続けてきたのだが、今回は、全く態度を変えて、「過去、現在、そして、将来の金融政策」について、詳しく説明を始めたのである。
具体的には、「2007年までが過去の金融政策」であり、この時には、「単純な金融調節を行うだけだった」とも述べられているが、問題は、「2007年後半からの現在の金融政策」でもあったようだ。つまり、私が想定するように、この前後に、「デリバティブの大膨張」が停止したために、その後は、従来の金融政策では、混乱に対応できなくなったようだが、この点に関して、「イエレン議長」は、「従来の金融政策には、二つの欠点があった」ともコメントされているのである。
つまり、「個人や企業に、資金供給をする方法の欠如」であり、また、「ゼロ金利下では、資金供給の方法が限定される状況」のことである。そのために、「準備預金に金利を付け、また、資産買い付けにより、従来とは違う資金供給の方法を構築した」ともコメントされているが、この時の問題点は、「FRBのバランスシートが大膨張したために、出口戦略が難しくなった状況」だったようである。
そのために、「2013年5月」から、いわゆる「テーパリング」を示唆し、かつ、実際に行いながら、その後、「2015年12月」に、「利上げ」を実行したのだが、この時の問題点は、「世界全体への影響度が理解できなかった点だった」とも述べられているのである。つまり、「FRBが利上げを継続し、また、国債売却を実行すると、世界全体に、おおきな影響が及ぶ状況」を危惧されたようである。
このように、今回は、「2007年から現在までの金融政策」について、赤裸々に説明を始めたのだが、一方で、「将来の金融政策」については、たいへん歯切れが悪い状況でもあった。そして、このことは、「全ての金融政策が行き詰まりを見せたために、後は、紙幣の大増刷で問題の解決を図る」という「メッセージ」だったようにも感じているが、この点については、間もなく、「国債価格の暴落」が、実際に、世界的に始まった時に、答えが出るものと考えている。