本間宗究(本間裕)のコラム

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2016.12.5

2016年を振り返って

「2016年」は、世界の金融史において、歴史的な「大転換の年」となったものと考えているが、その理由としては、約35年間も継続した「世界的な低下金利」が終焉し、また、世界的な「マイナス金利」がピークを付けたものと思われるからだ。別の言葉では、「権力の暴走」が終了し、「天地自然の理」が働き始めた状況とも言えるようだが、この点については、「なぜ、長期間、金利の低下が続き、また、最後の段階で、マイナス金利が発生したのか?」に関する深い理解が必要なようにも感じている。

また、「中央銀行の中央銀行」と呼ばれる「BIS」の「カルアナ総裁」は、「6月末の年次総会」で、「将来が現実となる時」という言葉を使い、「中央銀行の暴走が終了した状況」を、すでに示唆していたようにも思われるのである。そして、実際に、この前後に、「マイナス金利のピーク(国債価格は史上最高値)」を付けたわけだが、この点に関して、「イエレンFRB議長」は、「8月26日」の演説で、「2007年以降に、どのような金融政策を行ってきたのか?」について、詳しい説明を行ったのである。

このように、現在では、「BIS」と「FRB」のトップが、「世界的な金融情勢」について、赤裸々に「問題提起」や「疑問点」などを述べ始めているが、具体的には、「現在の経済学は、きわめて未熟である」ともコメントしているのである。別の言葉では、「世界の金融システムは、間もなく、完全崩壊する」、そして、「その後の大混乱期に、新たな理論が誕生する」という点を、強調したかったようにも感じられるのである。

より具体的には、「非伝統的金融政策」という「本来、中央銀行が行ってはいけない政策」が、「2007年」以降、世界的に実施されてきたわけだが、「2016年」は、この点において、完全に限界点にまで達したものと思われるのである。その結果として、現在では、すでに、「世界的な金利上昇」が始まったものと考えているが、この時の問題点は、やはり、「いまだに、古典的な経済学を信奉する人が多い状況」とも言えるのである。

つまり、「景気が良いために金利が上昇した」というような、短絡的、かつ、安易な考え方のことである。しかし、実際には、「カルアナ総裁」が、数年前から主張してきたように、「世界各国の中央銀行が、国債の買い付けを行わなかったら、世界の金融システムは、とっくに破たんしていたはずだ」、そして、「時間稼ぎや問題の先送りは、すでに限界点に達した」という状況でもあり、間もなく、この点について、世界中の人々が気付くことになるものと考えている。