本間宗究(本間裕)のコラム

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2016.12.18

日銀の赤字決算

「11月28日」に、「日銀の上半期決算」が発表され、結果としては、「約2000億円の赤字」という状況だったが、この点を、深く分析すると、「今後、日銀の財務内容が、どれほど悪化するのか?」が、はっきり見えてきたようにも感じている。具体的には、「マイナス金利の国債」を継続して買い付けていることにより、今後、「日銀の赤字金額」が急増する可能性のことである

別の言葉では、「上半期(4月から9月)」では、「2000億円の赤字で済んだ」という状況だったようだが、今後は、「この金額が急増し、結果として、日銀が債務超過に陥る可能性」も考慮する段階に差し掛かったようにも感じられるのである。つまり、「-0.25%の1年国債を、日銀が1兆円購入すると、1年後には、約25億円もの損失が出る状態」となっており、この事実を、「約414兆円もの国債保有残高」に当てはめると、「今後、どれほどの損失が計上されるのか?」が憂慮されるのである。

このように、今後は、「世界的な金利上昇が、日本の金利にどのような影響を及ぼすのか?」が大きな注目点であり、また、「国債買い付けの原資」となっている「日銀の当座預金」に関して、「金利が上昇し、結果として、当座預金残高が急減する事態」も予想されるのである。あるいは、「金利上昇」が、「国債価格の暴落」をもたらし、結果として、「誰も、国債を買わなくなる状況」を想定する必要性もあるようだが、結局のところ、「日銀」としては、「ありとあらゆる手段を使い、金利の上昇を防ぐ」という態度に終始する可能性も存在するようである。

具体的には、「日銀のバランスシート」において、「数十兆円もの政府預金」が存在するが、このことは、「政府から資金を借り入れて、政府の借金である国債を買い付ける」という、前代未聞の状況とも言えるのである。しかし、当然のことながら、このような状況下では、「為替」に、大きな影響が出てくるものと思われ、結果としては、急激な「円安」や「輸入物価の上昇」に結び付くものと想定されるのである。

つまり、「BISのカルアナ総裁」が、以前から指摘していたように、「中央銀行は、金融システムを守るために、どのような手段でも行使するが、最後には、市場の反乱により、後追いで、政策金利の上昇に踏み切らざるを得ない状況」のことだが、実際には、「1991年のソ連」のように、「国債の買い手」がいなくなり、最後には、「インクが無くなるまで、紙幣の大増刷を実施した状況」も想定すべき段階に入ったようである。