本間宗究(本間裕)のコラム

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2017.6.5

10年遅れの金融大混乱

今回、「バーナンキ前FRB議長の演説」を読んで感じたことは、「この10年間に、どのような意味が存在したのか?」という点だった。つまり、「2007年7月」に発生した「サブプライム問題」を見た時に、「ほぼ想定どおりに、金融の大混乱が始まった」と感じたのだが、その後の「リーマンショック」以降の展開については、「私の予想」とは、大きく異なったものだったからである。

具体的には、「リフレーション政策」という「中央銀行のバランスシートを大膨張させて、国債を買い付ける政策」については、ほぼ想定どおりだったものの、「過去の歴史」から理解していたことは、「通常のリフレーション政策は、1、2年で限界点に達する」ということだった。しかし、実際には、「約8年間」という、想像もしなかったほどの長期間に亘り、この政策が実施され、しかも、最後の段階では、「マイナス金利の発生」という、「人類史上、未曽有の事態」までもが発生したのである。

別の言葉では、「マネーの大膨張」を終焉させる方法に関して、前代未聞の規模での「問題の先送り」と「時間稼ぎ」が行われたものと考えている。しかし、一方で、この結果として発生したことは、さまざまな「技術革新」だったようにも感じているが、実際には、「大量のマネー」が存在したために、「AI(人工知能)」や「IоT」などが、大きく発展した状況であり、このことも、私の想定を超えた事態でもあった。

このように、「マネーの大膨張」に関して、私自身は、「悪い面」だけに注目していたようだが、実際には、さまざまな「良い面」が存在したようにも思われるのである。具体的には、前述の「数多くの技術革新」が指摘できるようだが、この点については、「戦後の日本」と似たような状況とも想定できるようである。つまり、「レーダー」や「航空機」などの技術不足が、「日本の敗戦」に関する「原因の一つ」だったものと思われるが、その後の「日本人」は、「ソニー」や「トヨタ」などのように、「通信」や「航空」などに関する技術を活用して、世界的な大企業を創り出したのである。

そのために、これから予想される「10年遅れの金融大混乱」についても、私自身としては、「不安」や「恐怖」よりも、「期待」や「希望」の方が、大きくなったようにも感じている。そして、その理由としては、「人類は、常に進化と創造の過程にある」、しかも、「世の中の出来事には、全て、大きな意味が隠されている」という真理を、我々に、知らせることが、「過去10年間」が意味したことだったものと考え直しているからである。