本間宗究(本間裕)のコラム

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2018.2.22

インフレ懸念の台頭

最近、世界的に注目されていることとして、「インフレ懸念の台頭」があるが、この言葉から連想されることは、やはり、「1970年代初頭の世界情勢」である。つまり、「1971年のニクソンショック」、そして、「1973年の石油ショック」のことであり、実際には、「1973年の初め」に、この言葉が使われたのである。そして、その後は、「1974年の狂乱物価」に繋がるとともに、「1970年代末まで、インフレの嵐が世界を吹き荒れた」という状況でもあった。

そのために、今後の展開に、大きな注意を払っている状況でもあるが、特に注目すべき点は、「1970年代」と「現在」との「違い」を理解することだと考えている。つまり、「1970年代のインフレ」については、実際のところ、「スタグフレーション」という言葉が産み出されたように、「景気低迷下の物価上昇」でもあったが、この点については、「戦後の高度経済成長」が終焉し、その後の「マネーの大膨張」が始まるキッカケの出来事だったようにも感じている。

そして、より重要な点は、「当時の世界的な国家財政が、きわめて健全だった」という事実であり、このことは、「通貨価値の下落」という「本当の意味でのインフレ」が起こる可能性が低かったことを意味しているのである。つまり、それまでの「金本位制」から、私の提唱する「信用本位制」へと「通貨制度の変更」が起きたことにより、「通貨の価値」が不安定の状態となったようにも感じられるのである。

しかし、今回は、まったく違った状況であり、実際には、「歴史的にも、未曽有の規模で発生したマネーの大膨張」、あるいは、「人類史上、初めてのマイナス金利」など、既存の「金融システム」や「通貨制度」に関して、壊滅的な打撃を与える条件が、すべてそろった状況のようにも感じられるのである。

そのために、今後、「インフレ懸念が、実際のインフレに変化する可能性」に注目しているが、今回は、前述の「スタグフレーション」ではなく、本格的な「インフレの到来」を想定している。つまり、「1991年のソ連」や「1923年のドイツ」のように、「ハイパーインフレ」が発生する可能性のことだが、最近、海外では、この点に関するレポートが出始めるとともに、「どのような原因、そして、道筋で、ハイパーインフレが進行したのか?」を詳しく調べているが、「日本人」は、いつものとおりに、「ハイパーインフレ」が発生した後で、「こんなはずではなかった」と嘆く状況も考えられるようである。