本間宗究(本間裕)のコラム

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2018.4.12

アベノミクスと日本株

現在、多くの投資家が、「加計学園」や「森友学園」などの問題に注目しているが、この理由としては、「安倍首相が退陣すると、日本株が暴落し、円高に陥る懸念が存在する」と考えているからのようである。つまり、「アベノミクスの恩恵により、今まで、景気が好転し、株価が上昇した」という理解のことだが、「お金の性質」や「資金の流れ」からは、まったく違った姿が見えてくるものと思われる。

つまり、「アベノミクス」が実施されていなかったら、より以上の円安と株高が発生していた可能性だが、この点については、「日本のマネーストック」と「日本のGDP」を見れば一目瞭然とも言えるようだ。具体的には、現在の「M2」が「約1000兆円」に対して、「GDP」が「約530兆円」という状況だが、「アベノミクス」が実施されていなかったら、「名目GDP」が、より大きな数字になっていたものと想定されるのである。

より詳しく申し上げると、「日銀の異次元金融緩和」が実施されたことにより、「約370兆円もの資金が、日銀に吸い上げられ、国債に投資されていた状況」でもあった。また、かりに、「2%の金利」が「国民の預金」に付加されていたら、「約960兆円もの個人預金」に関して、今までに、膨大な金額の「利子」が支払われていたはずだった。その結果として、「個人消費」や「企業の設備投資」なども増え、結果として、「日本の名目GDP」は、現在よりも、はるかに大きな金額となっていたものと推測されるのである。

そのために、これから想定される事態は、「アベノミクスの終焉」により、「約370兆円」もの「日銀に吸い上げられていた資金」が市場に出回り、結果として、「日本の名目GDPが急増する事態」が想定されるのである。別の言葉では、本格的な「インフレ政策」が実施されることにより、「金利が急騰しながらも、株式や貴金属の価格も急騰する展開」のことだが、現時点では、誰も、このような事態を予想していない状況とも言えるようである。

このように、「通貨の堕落が引き起こすインフレ」については、「ケインズ」が指摘するとおりに、「百万人に一人も気づかれず、静かに進行する可能性」が存在するようだが、今後の注目点は、「アベノミクス」と「日本の株価」の関連性に関して、「いつ、投資家が、本当の状況に気付くのか?」だと考えている。そして、現在では、この時期が、たいへん近くなっているようにも思われるが、実際には、「日経平均が、年初来の高値を更新した時」とも言えるようである。