本間宗究(本間裕)のコラム

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2019.5.23

MMTの意味すること

現在、「MMT(現代貨幣理論)」に関する議論が活発に行われているが、内容としては、「財政赤字」と「インフレ(通貨価値の下落)」の関係性において、「財政赤字を膨らませてもインフレは発生しない」というものであり、「このことは、過去20年余りの期間、日本の金融政策で証明されたことである」とも述べられている。つまり、「日銀」や「日本政府」が主張してきたことが、現在、「アメリカの学者」により理論化され、承認された状況とも言えるようだが、興味深い点は、「日銀」や「日本政府」が、この意見に対して反論をしている事実である。

具体的には、「財政規律が緩めば、必ずインフレが発生する」というものだが、この点に関して、現在、注目すべき点は、「なぜ、今になって、このような議論が出始めたのか?」ということでもあるようだ。つまり、「MMT」が主張することは、「今まで放漫財政が継続されながらも、インフレが起きなかった」、そのために、「今後も、この政策を継続すべきである」というものである。

別の言葉では、「2018年9月」以降、「日銀」を中心にして、「中央銀行のバランスシート残高が、ほぼ横ばいの状態」となっているために、「紙幣の増刷を実施することにより、景気の好転と資産価格の上昇を図るべきである」というような意見とも感じている。つまり、「中央銀行に対して、更なる刺激策を要求する意見」とも言えるようだが、この点に関する「私自身の感想」としては、「いよいよ、本当のインフレが始まるサインではないか?」ということでもあった。

より詳しく申し上げると、「過去20年以上、なぜ、日本において、実質上のゼロ金利政策が可能だったのか?」ということが、私自身の「疑問点の一つ」でもあったが、実際には、「約8京円」という規模にまで膨れ上がった「デリバティブ」の存在が、最も大きな原因だったのである。しかし、現在では、「金融メルトダウン」の進展により、「金利やインフレを低下させる効果」が激減している状況となっており、このことは、間もなく、本格的なインフレが発生する状況を意味しているものと想定されるのである。

そして、このような状況下で、「日本政府」や「日銀」が、「財政規律の緩和によりインフレが発生する」と断言せざるを得ない状況となっていることにも、大きな意味が隠されているようだが、実際には、「日本人」のみならず、「世界中の人々」に対して、「警告」が発せられた可能性である。