本間宗究(本間裕)のコラム

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2019.7.4

座して死を待つBIS!?

6月30日に「BIS(国際決済銀行)の年次総会」が開催されたが、この時に議論された内容は、私自身も驚くほどに悲観的なものだった。つまり、「金融政策で打つ手が無くなった」、そのために、「財政政策」や「構造改革」、あるいは、「マクロ・プルーデンス」などを含めた「総合的な対策が求められている」という主張だったが、実際には、「座して死を待つような状態ではないか?」とも感じられたのである。

別の言葉では、「マクロ・プルーデンス」、すなわち、「金融システム全体のリスクの状況を分析・評価し、それに基づいて制度設計・政策対応を図ることを通じて、金融システム全体の安定を確保する考え」を強調することにより、「行間に、何らかのメッセージが隠されているのではないか?」という可能性である。つまり、昨年の年次総会で主張されていた「金利のスナップバック(急激な反転・上昇)」に関して、「いつ発生しても不思議ではない状況である」と主張したかったようにも感じられたのである。

そして、この点については、私が想定する「金融界の白血病」や「金融界の玉手箱」、あるいは、「金融界のホーキング放射」と合致する考え方であり、しかも、現在の「世界的な超低金利状態」に関して「タイミングの問題」が指摘され始めたのである。つまり、「2008年前後に発生したGFC(金融大混乱)」に関して、「過去10年間、きわめて異常な金融政策が、世界全体で実施されてきたのではないか?」、そして、結果としては、「今後、大きな反動が訪れるのではないか?」という指摘である。

別の言葉では、「20年以上も継続した、日本の実質的なゼロ金利政策」などに関して、「今まで、どのような力が働いたのか?」を検証し始めた状況のようにも感じられたが、問題は、「中央銀行の中央銀行」と呼ばれる「BIS」にとって、「最後の手段」である「紙幣の増刷」は、各国の中央銀行に強制できない状況となっているのである。つまり、「残された方法は、紙幣の増刷であり、インフレを発生させることである」ということが、「行間に込められていたメッセージ」のようにも感じられたが、この点については、時間の問題で答えが出るものと考えている。

具体的には、「7月から10月」という期間に「デリバティブが完全崩壊を始める可能性」のことだが、さすがに、「BISの年次総会」で、このような意見が出ることは不可能であり、今回、私自身が感じたことは、この点に関する「彼らの無念な想い」、あるいは、「残念な想い」でもあったようだ。