本間宗究(本間裕)のコラム
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2019.7.12
人類最大のトレードオフ
6月30日に行われた「BISの年次総会」は、内容的に、きわめて貧困な状況だったが、一方で、「これから、どのような変化が発生するのか?」を考えた時には、実に大きな意味が存在したようにも感じている。つまり、今回は、「時間的なトレードオフ」について、いろいろな説明がなされていたが、この時に浮かんだのが「人類最大のトレードオフ」というアイデアだったからである。
具体的には、聖書に書かれている「人は神と富に兼ね仕えることができない」という言葉のことだが、実際には、「文明法則史学」が教えるとおりに、「西洋の時代」は「富に仕える時代」であり、この時には、「唯物論」が基本的な価値観になるものと考えられるのである。また、「東洋の時代」は「神に仕える時代」であり、基本的な価値観は「唯心論」になるものと想定されるが、この時の問題点は、「西暦1200年から800年間も続いた西洋の時代」により、私自身も含めて、「唯心論」が、完全に忘れ去られた可能性とも言えるようである。
つまり、「明治維新以降の日本人」については、「廃仏毀釈」などにより、「仏教」に対する興味や関心が、ほとんど失われ、「目に見える現実」と「お金」だけに邁進している状況となっているのである。別の言葉では、「100万人もの引きこもり」が存在しようとも、あるいは、「多くの人々に、心の闇が存在している状況」であろうとも、「我関せず」という態度で「お金儲けに邁進する姿」については、やはり、「富に仕える時代」の最終段階を意味しているようにも感じられるのである。
そして、今後は、世界中の人々が驚くような事件をキッカケにして、「東洋の時代」が幕を開けるものと考えている。具体的には、「1600年前の状況」が、再度、形を変えて繰り広げられる可能性、すなわち、「西ローマ帝国が崩壊し、東洋の文明が勃興した状況」のことだが、今回は、「ケプラーからニュートンへ」という言葉のとおりに、「過去300年間に発展した科学技術文明の存在により、違った展開になる可能性」も考慮している。
また、このような「文明の大転換」に際して、最も注目している点は、「お金の変化」であり、実際には、「唯物論」や「物質」を代表するものが「通貨(お金)」でありながら、現在では、「通貨そのものが、目に見えない数字に変化した状況」である。そして、このことは、「1971年のニクソンショックから、すでに、唯心論や目に見えないものを求める動きが始まっていたのではないか?」とも感じられるのである。