本間宗究(本間裕)のコラム

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2019.8.15

断末魔の叫びを上げ始めた現代社会

現在、世界の金融システムは、「断末魔の叫び」を上げている状況とも言えるようだが、実際のところ、「オーストリアの100年国債価格」や「アルゼンチンの株価」などを見ると、「何らかの異常事態」が発生している可能性も想定されるのである。つまり、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制という通貨制度」や「約200年前から始まった資本主義」、そして、「約800年前からスタートした西洋の時代」の全てが、崩壊の危機を迎えている可能性のことである。

より具体的には、「断末魔」という言葉が意味するとおりに、「末魔」という「急所」が断たれ、世界全体が悲鳴を上げている可能性のことだが、この点に関して重要なことは、「何が、現代社会の急所なのか?」ということでもあるようだ。別の言葉では、現在の「世界的な金融混乱」を理解するためには、少なくとも、「過去百年間に、世界の通貨制度が、どのような変化を経験したのか?」、また、「資本主義の時代に、実体経済が、どれほどの成長をしたのか?」、そして、「実体経済とマネー経済との関係性に、どのような変化が発生したのか?」を理解する必要性が存在するものと想定されるのである。

つまり、「現在の混乱」だけを理解しようとしても、「三次元の経済学」という言葉のように、「何が何だか、訳が分からない状態」に陥る可能性が高くなり、そのために、「四次元の経済学」という、「過去数百年、あるいは、過去数千年間に、どのような推移を経て、現代社会が形成されたのか?」を理解する必要性が存在するのである。

具体的には、「西暦1200年頃」から始まった「西洋の時代」において、「唯物論」という「目に見えるもの」に価値観が、「人々の意識や行動を、どのように変化させたのか?」ということである。そして、この点に関して、最も大きな役割を果たしたのが「信用」であり、実際には、「人々の絆」が「信用」を生み出し、その結果として、「西暦1600年頃」に「時は金なり」の思想が誕生したのである。

また、現在では、大膨張した「マネー」が、「人の心」までをも支配した状況とも言えるようだが、この時に、「現代の末魔(急所)」を考えると、やはり、「信用の消滅」が想定されるようである。つまり、現在の「世界的な国債バブル」は、世界に存在する「信用」を、完全燃焼している段階であり、今後、最も注目すべき点は、「国債バブルの崩壊」により、世界の「信用」、そして、「お金(マネー)」が、ほぼ瞬間的に蒸発する可能性だが、現在は、まさに、その最終局面に差し掛かっているようにも感じている。

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