本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2019.12.20

世界に拡大中の反政府デモ

現在、世界各地で「反政府デモ」が発生しているようだが、この原因としては、基本的に、「リーマン・ショック以降に発生した、世界的な資金の奪い合い」が指摘できるものと考えている。具体的には、「マネー経済」の実情として、「2007年から2008年に、歴史的な残高のピークを付けた」という点が理解できるが、問題は、「その後に、どのようなことが起こったのか?」ということである。

つまり、「実体経済」に比べて「約10倍」というように、きわめて異常な規模にまで膨れ上がった「マネー経済」の内部で、「内部分裂」が発生していたわけだが、実際には、「政府」と「国民」との間で、「資金の奪い合い」が起こっていたのである。別の言葉では、「通貨の堕落」の一手法である「中央銀行の資産を大膨張させて、国債を買い付ける方法」が実施されていたわけだが、実際には、「ケインズ」が述べたとおりに、「百万人に一人も気付かずに、事態が進行する状況」となっていたのである。

より具体的には、「江戸時代の貨幣改悪」のように、「通貨の質」が落ちていたのだが、実際には、私が提唱する「信用本位制」という、人類史上、まったく初めての通貨制度となっていたために、実情に気付く人は、ほとんど存在しなかったことも理解できるのである。つまり、「江戸時代の人々」は「小判の色が白くなった時に、初めて、貨幣の改悪に気付いた」という状況だったが、現代人は、「キャッシュレス社会の到来」を信じ込み、「単なる数字」という「将来的に価値が無くなる可能性が高い通貨」を、喜んで受け入れたのである。

その結果として発生したのが、前述の「資産の奪い合い」であり、実際には、「中央銀行が、国民の預金を使い、国債を大量に買い付けた状況」、すなわち、「国家が、国民の資金を使い、国家財政の破綻を先延ばしした状況」とも考えられるのである。別の言葉では、「サステナビリティ(持続可能性)」に問題があり、将来的に、間違いなく「ティッピングポイント(臨界点)」に見舞われる手法を取っていたわけだが、実際には、「臭いものには蓋」というような態度により、ほとんど実情が知らされていなかったのである。

しかし、「このような状況には、必ず、『限界点』や『臨界点』が訪れる」ということが「歴史の教える真理」であり、現在では、すでに、この段階に到達したものと考えられるわけだが、私が最も危惧していることは、「日本が、何時、このような状態に陥るのか?」ということである。