本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.6.11

金融の戦国時代

「麒麟が来る」という大河ドラマを見るたびに、「400年サイクル」が脳裏に浮かんでくるが、具体的には、「応仁の乱(1467年-1477年)」が「明治維新(1868年)から西南戦争(1877年)」に相当し、また、「比叡山延暦寺の焼き討ち事件(1571年)」が、その400年後の「ニクソンショック(1971年)」に相当する可能性である。

つまり、当時の「武士たちが領土を奪い合っていた状況」が、現在、「全国民が、お金の奪い合いに殺到している状況」と重なって見えるわけだが、基本的に、「鎌倉幕府」から「室町幕府」においては、「武士の時代」が始まったものの、「徳川幕府の成立」までは、「領土をめぐる争い」が継続していた状況でもあったようである。

また、現在は、「明治維新」から始まった「日本の西洋化」に関して、「第二次世界大戦の敗戦」までの「前半の77年間」が、「武力における成功と失敗を経験した状況」であり、そして、「後半の75年間」は、「金融面における成功と失敗を経験している状況」とも感じている。つまり、「日本人」は、過去150年余りの期間、「実体経済」と「マネー経済」の両面で、不思議な体験をしたものと感じているが、今後は、「カール・ヤスパース」が主張するとおりに、「第二の枢軸時代」が始まる状況も想定されるのである。

具体的には、今回の「西洋の時代」から「東洋の時代」への「文明交代」に関して、「財政赤字とインフレによる滅亡」という「1600年前に発生した西ローマ帝国の滅亡」と同様の展開も想定されるわけだが、この時の注目点は、「技術革新による、新たな時代が始まる可能性」とも言えるのである。

そのために、これから考慮すべき点は、「どれほど有効、かつ、正確な情報が、世界的に共有されるのか?」ということであり、決して、「デジタル通貨で、お金儲けを企てること」ではないものと考えている。つまり、今回の「デジタル化」については、「情報を選別することにより、経済学や心理学などの社会科学を、どのようにして発展させるのか?」に対して、時間とエネルギーを使うべきであり、決して、「デジタル通貨のバブル」に踊らされるという「落とし穴」にはまらないことだと思われるのである。

別の言葉では、「お金の謎」や「時間のサイクル」、そして、「心の謎」が解けることにより、「文明法則史学」を創造した「村山節氏」が考える「新たな東洋の時代」が始まるものと考えているが、これから想定される「世界的な大インフレ」については、やはり、「産みの前の苦しみ」のようにも感じている。