本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.6.26

資本主義と共産主義

「1991年の12月」に、「共産主義」や「社会主義」の代表国家とも言える「ソ連」が崩壊したが、その後の展開としては、「中国」や「ロシア」などが、実質的な「資本主義国家」へ変貌したという状況でもあった。つまり、「中国」や「ロシア(旧ソ連)」などの国々は、本当の意味での「共産主義(コミュニズム)国家」ではなく、「遅れて発生した資本主義国家」でもあったようだが、この理由としては、「共産主義」という言葉が誤訳された点が指摘できるものと考えている。

より具体的に申し上げると、「世界の歴史」は、「市場経済」と「共同体(コミュニティー)」に分類されるものと考えている。しかし、実際には、「マルクス」や「エンゲルス」などの「史的唯物論」により、「資本主義が崩壊した後は、共産主義の時代が到来する」という「歴史的な誤解」が発生したものと考えられるのである。その結果として、「東西の冷戦」が発生するとともに、「ソ連の崩壊」以降は、「世界全体が、実質的な資本主義国家となり、未曽有の規模でのマネー大膨張が発生した」という展開だったのである。

しかも、現在の「中国」では、「共産党の一党独裁国家」が、「利潤の追求」や「帝国主義的な領土拡大」に邁進する状況となっているが、このことは、きわめて「時代錯誤的な事態」とも考えられるのである。つまり、「資本主義」がもたらしたものは、「資本(お金)」が「主義(最も大切なものである)」という「価値観」であり、その結果として、現在では、「マネー経済」が「実体経済」を振り回している状態となっているのである。

別の言葉では、「共同体」が崩壊し、「お金だけが信用される社会」が形成されたわけだが、このことは、「根のない切り花の状態」であり、間もなく、「お金が紙切れに変化する展開」も想定されるのである。つまり、「資本主義」の行き着く先は、「共同体」という「人々の結びつき」が重要視される時代だと思われるが、現在、最も注目すべき点は、世界的な「信用崩壊」が発生していることである。

より具体的には、今後、「デリバティブのバブル崩壊」により、「世界的な金利やインフレ率の急上昇」が発生する展開を想定しているが、この結果として発生する事態は、「小さな共同体が、数多く生み出される事態」とも言えるのである。つまり、「民族大移動の後半部分」のことでもあるが、実際には、「大都会」で住みづらくなった人々が「地方」へ移住を始める状況のことであり、現在の「香港」などを見ると、まさに、この動きが、すでに始まっている段階のようにも感じている。