本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.6.30

カズタマとコトダマ

ドイツの哲学者である「カール・ヤスパース(1883年-1969年)」によると、「約4000年前」から始まった「農業革命」により、生産力や経済力が飛躍的に高まった結果として、「枢軸時代」と呼ばれる「精神文明の勃興期」が発生した状況でもあったようである。そして、現在は、「15世紀の半ばから始まった大航海時代」、あるいは、「18世紀から始まった産業革命」などにより「工業革命」が発生し、生産力や経済力が、未曽有の規模とスピードで発展している状況となっている。

そして、今後は、「第二の枢軸時代」と呼ばれる「精神文明の新たな勃興期」が始まる可能性も想定されるわけだが、この理由としては、「数霊(カズタマ)」や「言霊(コトダマ)」が指摘できるものと考えている。つまり、「西洋文明の唯物論」に対して、「数学」が、大きな貢献を果たした事実が見て取れるわけだが、実際のところ、「1637年」に著わされた「デカルトの方法序説」では、「気象学」や「幾何学」などが詳しく説明されており、このことが、その後、「科学技術文明の発展」に繋がったものと思われるのである。

別の言葉では、「マネーの膨張」という「マネーの遠心力」が働いた結果として、世界全体の「経済力の輪」が広がったものと考えているが、現在の問題点は、やはり、「実体経済」のみならず、「マネー経済」までもが、発展の限界点に達した事実である。つまり、現在では、「神や真理の求心力」が働き始めており、このことが、前述の「枢軸時代」を発展させる原動力のようにも思われるのである。

より詳しく申し上げると、人々の興味と関心を表す「志(心指し)」が、すでに、「目に見えないもの」と「他人」とに向かい始めており、この結果として、前述の「経済力の輪」が収縮を始めているものと想定されるのである。つまり、「文明法則史学」が教えるとおりに、「唯心論」を追求する「東洋の時代」が始まった可能性のことだが、この点に関して、重要なポイントは、やはり、「言霊」を理解することだと感じている。

具体的には、「宗教」や「哲学」などの「精神面」の発展において、「言葉による理解」が必要とされている状況のことでもあるが、実際には、「言葉」が「人々の意識」に対して「どのような影響力を与えているのか?」を理解することである。別の言葉では、2500年ほど前の「第一の枢軸時代」では、「人間の意識や行動」に関して、実に複雑、かつ、精緻な研究や分析が、世界各地で行われたわけだが、今後の数百年間も、「第二の枢軸時代」という言葉のとおりに、同様の状況が再来する可能性のことである。