本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.7.2

未来予測の方法論

金融界に従事して、今年で44年目に入ったが、この間、一貫して追い求めてきたものは、「未来予測の方法論」だったようにも感じている。具体的には、「温故知新」という言葉のとおりに、「過去の歴史を研究し、未来の変化を予想する方法」のことだが、この点に関する現在の反省点は、「演繹と帰納法」の重要性が理解できていなかったことである。つまり、「全体像」を理解することの重要性が理解できていなかったために、このヒントとなる「日々の出来事」の検証においても、真剣さが足りなかったものと思われるのである。

別の言葉では、「22年間も継続した日本の実質的なゼロ金利」などに関して、「なぜ、このような事態が発生するのか?」を考えることだが、実際には、「すべての出来事に、当然の理由が存在した状況」でもあったようだ。また、もう一つの「私自身の反省点」としては、「過去の歴史」や「時間のサイクル」が、十分に理解できていなかった時に、「全体像が把握できず、未来予測に間違いが発生したこと」のようにも感じている。

より詳しく申し上げると、「デリバティブの大膨張」が産み出した「世界的な超低金利状態」を正しく理解するためには、「文明法則史学」や「マネー理論」に関して、より詳しい理解が必要だった可能性のことである。つまり、「2000年前の時代」まで歴史を遡った時に、初めて、「マネーの謎」や「時間のサイクル」については、ほとんど理解できたものと感じられたわけだが、問題は、やはり、「心の謎」であり、このために必要とされることは、「4000年前の時代にまで歴史を遡る必要性」だったのである。

具体的には、「文字の発明」、そして、「洋の東西で、哲学や仏教などが、どのようにして発展したのか?」を、より深く理解することでもあるが、実際には、「カール・ヤスパースの枢軸時代」のとおりに、「農業の発展」が「時間的な余裕」を生み出した結果として、「文字」が発明され、「人類の智慧」が蓄積されていった状況のことである。

そして、最近、この点に関して、驚かされたことは、「3000年前からの文献」が、きわめて高度な内容を有していたことである。より具体的には、「旧約聖書」や「仏教」、そして、「ギリシャ哲学」などについて、「現代人よりも、深い理解がなされていた可能性」のことだが、今後の「東洋の時代」では、「1600年前と同様に、唯心論などの研究が盛んに行われ始める可能性」が高くなっているものと考えている。つまり、この点に、「未来予測」や「今後の成功者」のヒントが隠されているようにも感じられたわけだが、このことは、今後、「世界的な大インフレ」が訪れたときに理解されるものと考えている。