本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2020.7.3

米国FRBの実情

米国の中央銀行である「FRB」も、現在、「日銀」と同様に、大きな分岐点に差し掛かっているものと思われるが、実際には、「国債買い付けの資金が枯渇し、紙幣の増刷が始まった状況」のことである。具体的には、昨年の9月に「約3.8兆ドル(約406兆円)」だった「バランスシートの総額」が、その後、「約7.2兆ドル(約770兆円)」にまで急増したものの、現在では、収縮が始まっていることも見て取れるのである。

つまり、「資金を借り入れて、国債を買い付ける」という「従来の方法」が難しくなったために、今後は、「国債の買い付け」を無視しながら、「増刷された紙幣が、直接、金融システムに流れ込む方法」が選択されるものと考えられるのである。別の言葉では、過去100年間に、30か国以上で発生した「ハイパーインフレ」が、数か月後に、世界全体で発生する可能性が高くなっているわけだが、この点については、やはり、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制」に対する理解が必要不可欠だと考えている。

より詳しく申し上げると、「イエレン前FRB議長」が、以前に喝破したとおりに、「現在の経済学は、きわめて未熟な状態であり、その結果として、本当のインフレやデフレが理解されていない状態」となっているのである。つまり、「実体経済」だけが議論され、「マネー経済」が無視されている状況となっているために、「世の中で、どのようなことが起こっているのか?」について、真実の姿が見えなくなっているのである。

別の言葉では、「超低金利状態の蓋」に覆われた「仮想現実」の世界で、「デジタル化のバブル」が発生したものと考えているが、今後の注目点は、やはり、「金融界の白血病」であり、実際には、「紙幣の大増刷」とともに、「デリバティブなどの金融商品」が、ほぼ瞬間的に蒸発してしまう可能性である。つまり、今回の「コロナ・ショック」については、基本的に、「実体経済のマヒ状態」に繋がったわけだが、今後の問題は、「金融面での機能不全」とも考えられるのである。

より具体的には、「10年ほど前のジンバブエ」、あるいは、「1991年のソ連」などのように、「大量に発行された紙幣が、全く使い物にならなくなる事態」のことだが、この理由としては、「名目上の大膨張、実質上の大縮小」という「インフレの特徴」が指摘できるものと考えている。しかも、今回は、人類史上、未曽有の規模での「大インフレ」も想定されるわけだが、今後の注目点は、「いつ、どこから、このことが始まるのか?」という「場所と時間の問題」のようにも感じている。