本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.7.31

米中の対立激化

米中の対立が、再び、激化し始めているが、今回は、貿易戦争ではなく、根本的な理念の対立のようにも感じている。あるいは、「国家」と「国民」との関係性において、劇的な変化が発生している可能性も想定されるが、この点に関して思い出される「歴史的な事件」は、やはり、「尊王派」と「攘夷派」が戦った「明治維新」であり、実際には、「幕府の内部で分裂が発生し、その後、幕藩体制そのものが消滅した展開」のことである。

そして、この事実を、今回の「米中対立」に当てはめると、「国民が主導する資本主義」と「国家が主導する資本主義」との争いが起きており、今後は、「資本主義」そのものが完全消滅する可能性も想定されるのである。別の言葉では、文明法則史学が教えるとおりに、「西洋の唯物論的な価値観」の最終段階で発生した「資本主義」、そして、「マネーバブルの崩壊」により、今後、「東洋の唯心論的な価値観」に移行する状況のことである。

つまり、「現在、どのような対立が発生しているのか?」を考えると、実際には、「資本主義の内部で、国家と国民が争っているのではないか?」、しかも、「この対立が、米中間の争いに象徴されているのではないか?」とも思われるのである。別の言葉では、表面上、「資本主義」と「共産主義」との対立に見えるものの、実際には、「西洋の唯物論」そのものが、終焉の時期を迎えているようにも感じられるのである。

より具体的には、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊」のような「時代の激変期」に遭遇している可能性のことだが、これから想定される展開としては、やはり、「国家財政の破たん」、そして、「大インフレの発生」だと考えている。つまり、「一日にしてはならず」と言われた「ローマ帝国」は、当時、「マネーの実質的な崩壊」を意味する「大インフレ」により、歴史上からは、あっという間に崩壊したことも見て取れるのである。

より詳しく申し上げると、現在は、「世界全体が、国家財政問題に悩まされていながらも、デジタル通貨の存在により、辛うじて、延命措置が実施されている状況」のようにも思われるのである。つまり、「超低金利状態」を維持するために、「国家が国民の預金を使い果たそうとしている状況」のことだが、今後の注目点は、「国民が、いつ、この事態に気づくのか?」ということである。そして、今回の「米中の対立」が意味することは、世界中の人々に対して、「表面的な動きを見るのではなく、歴史の本質に気づくべきだ」という「天からのメッセージ」であり、たいへん近い将来に、この仮説が証明される時期が訪れるものと思われるのである。