本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.8.11

1991年のソ連

1917年の「ロシア革命」で誕生した「ソ連(ソビエト社会主義共和国連盟)」は、74年目の「1991年」に崩壊の運命を辿ることとなったが、崩壊の状況については、まさに、「資本主義国家の末路」そのものだったようにも感じている。つまり、「国債価格の急落」とともに「紙幣の大増刷」が始まり、結果としては、「約1年」という期間で、当時、世界第二位の経済大国が、あっという間に、分裂状態に陥ったのである。

そして、約30年後の現在、世界各国の「ソ連化」が始まっている状況のようにも感じているが、実際には、「国債価格の暴落」、あるいは、「デリバティブのバブル崩壊」が始まった時に、世界的な「紙幣の増刷」が本格化する展開のことである。別の言葉では、「コロナ・ショック」がもたらした「実体経済の縮小」、そして、「税収減と歳出増」による「国家財政の悪化」、あるいは、「マネー経済の破裂」により、「大量の資金が、マネー経済から実体経済への移動を始める状況」のことである。

ただし、この時の注意点は、「マネー経済」を大膨張させた「デジタル通貨」が、すでに枯渇している状況であり、実際のところ、「日米欧の中央銀行においては、すでに紙幣の増刷が実施され始めている状態」とも言えるのである。そして、今後は、大量の「紙幣」が、「実体経済」への移動を始める展開が想定されるが、このことは、「目に見えないデジタル通貨」が「目に見える紙幣」となって、我々の目の前に現れてくる状況のことである。

しかも、今回は、「米中の対立」という「新たな要因」が発生しており、この点に関して気になる事実は、「1949年に誕生した中共(中華人民共和国)」が、現在、71年目を迎えている事実である。つまり、現在の中国は、「世界第二位の経済大国」となりながらも、「習近平氏」の指導の下、ひたすらに、「共産主義的な独裁色」を強めている状況のようにも感じられるのである。

別の言葉では、「米中の対立」が「世界的な信用崩壊」を引き起こし、その結果として、「国債価格の暴落」が発生する事態を危惧しているが、この点に「戦後76年目を迎える日本の運命」を重ね合わせると、「今後の数年間」については、きわめて危機的な展開となる可能性も考えられるようである。そして、この時に、最も注目すべき点は、「通貨価値の下落」を意味する「インフレ」でもあるが、実際には、「マネー残高の実質的な急減」により、「戦争などの奪い合い」ができなくなる状況が想定されるわけであり、この点については、「ソ連崩壊後の状況」が、大きな参考になるものと考えられるのである。