本間宗究(本間裕)のコラム
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2020.8.22
商品と通貨の将来
今後、最も憂慮すべき点は、「デジタル通貨の完全消滅」であり、また、「デジタル通貨で形成された金融商品が同様の展開になる可能性」だと考えている。そして、この点を理解するためには、「過去200年間に、どのような商品が産み出され、また、どのような通貨が創り出されてきたのか?」を理解することが必須の条件とも感じているが、実際のところ、「フローの性質」を持つ「商品」については、最初に、「一次産品」や「二次産品」、そして、「三次産品」や「金融商品」という順番で生み出されてきた状況だったのである。
しかし、一方で、「ストックの性質」を持つ「通貨」については、「金本位制」から、私が提唱する「信用本位制」というように、「1971年のニクソンショック」をキッカケにして、「通貨のデジタル化」が進行した状況だったのである。しかも、「1980年代初頭に誕生し、その後、2008年前後に約8京円の規模にまで発展したデリバティブ」については、「通貨と商品の二面性」が存在するが、「2006年から2009年のGFC(金融大混乱)」で発生した変化は、「商品の性質」が消滅し始めた状況とも考えられるのである。
つまり、その後の「量的緩和(QE)」については、「デリバティブの減少」を埋めあわせるために、「中央銀行のバランスシートを急増させる政策」であり、実際には、「金融のメルトダウン」という言葉のとおりに、「大量に存在するデジタル通貨を利用しながら、国家の財政破綻を先延ばしする方法」だった可能性のことである。別の言葉では、「超低金利状態により、国民の預金を国債に移行させる方法」のことだが、この方法は、江戸時代の「貨幣改悪」と同様に、国民が気付かない限り、実施が可能な状況だったのである。
ただし、現在は、「デジタル通貨」が「紙幣」に代わり始めている状況下で、「デジタル通貨で成り立っている金融商品」、すなわち、「デリバティブ」や「債権」、あるいは、「預金」などが、存在の基盤を失い始めている段階とも言えるのである。つまり、今後は、「大量の紙幣」が発行されながら、一方で、生き残る商品としては、生活に必要な「一次産品」や「二次産品」とも考えられるのである。
しかも、今後は、大量の紙幣が、小さな規模の「実物商品」に流れ込む展開が想定されるわけだが、この時に考えなければいけないことは、「貴金属」や「食料品」などの価格が、「これから、どのような動きを見せるのか?」ということであり、実際には、「1923年のドイツ」や「戦後の日本」、そして、「1991年のソ連」などのように、生活に必要な商品の価格が、異常な急騰を見せる展開を想定している。