本間宗究(本間裕)のコラム
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2020.11.10
独裁者の形成メカニズム
歴史を訪ねると、「ヒトラー(1889年-1945年)」や「スターリン(1878年-1953年)」、あるいは、「毛沢東(1893年-1976年)」や「ポル・ポト(1928年-1998年)」などのように、数多くの「独裁者」が誕生し、その結果として、「多くの人民が粛清され、虐殺された」と言われている。つまり、「同朋を大量虐殺するのは、人類だけである」と理解されているように、「独裁者」が誕生すると、「その後に、きわめて悲惨な事態が発生する」ということが「歴史の教訓」のようにも感じている。
しかも、「独裁者の形成」については、「通貨の堕落」と同様に、「百万人に一人も気付かないうちに発生する」という状況とも思われるために、現時点で必要なことは、「どのようなメカニズムで発生するのか?」を考えることとも思われるのである。つまり、「過去30年間の日本」を参考にしながら、「現在の官僚やマスコミなどが、どのような過程を経て、権力者に隷従するようになったのか?」を詳しく分析する必要性のことである。
より具体的に申し上げると、「戦後の高度経済成長期」が終了した「1990年代」に、「どのような意識の変化が、日本人に発生したのか?」を熟慮することでもあるが、実際には、「自分の地位や名誉、そして、給料を確保するために、自分の志を曲げて、組織に隷従せざるを得なくなった状況」のようにも思われるのである。しかも、この動きが、「通貨の堕落」とともに、「民間部門から公的部門にまで、徐々に、移行していった状況」については、まさに、「明治維新から第二次世界大戦までの日本を彷彿とさせる状況」だったようにも感じている。
つまり、「武力による戦争」と「マネーの争奪戦」という違いはあるものの、「最後の段階で、軍部や官僚の暴走が発生した状況」については、同じメカニズムが働いていた可能性が指摘できるものと思われるのである。ただし、この点については、哲学者の「カール・ヤスパース(1883年-1969年)」が指摘するとおりに、「第二の枢軸時代」を意味している可能性も考えられるようである。
そのために、私自身としては、これから想定される「東洋の時代」において、「社会科学が発展する展開」を期待している状況でもあるが、実際には、「AI(人工知能)を活用することにより、心の謎が解明される事態」である。つまり、「万有引力の法則」という「物と物との関係性」ではなく、「人と人との関係性」が解明されることにより、「安心して住める社会の構築」が実現される可能性のことである。