本間宗究(本間裕)のコラム
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2020.11.29
2020年を振り返って
「2020年」は、ご存じのとおりに、「コロナ・ショック」に終始した一年となったが、この点に関して注目すべきポイントは、「実体経済」と「マネー経済」との関係性だと考えている。つまり、現在では、「実体経済」と比較して「約10倍」の規模にまで膨れ上がった「マネー経済」に関して、「2019年9月17日」に発生した「米国翌日物金利の急騰」が示すように、きわめて危機的な状況が発生しているものと想定されるのである。
具体的には、「2008年前後に約8京円の規模にまで大膨張したデリバティブ」に関して、今までは、「中央銀行のバランスシートを膨張させることにより、徐々に、残高の減少を図っていた状況」でもあったが、現在では、「徐々に、紙幣の増刷が始まっている段階」に変化しているのである。そして、今回の「コロナ・ショック」については、この変化を、一挙に促進させる効果があったものと考えており、このような状況下で注目すべき点は、やはり、「超低金利状態の維持可能性」とも言えるのである。
つまり、今までは、「金融界のブラックホール」とでも呼ぶべき状況下で、「ゼロ金利」や「マイナス金利」が実施可能だったわけだが、この理由としては、「国民の資金を利用して、国債を買い付ける状況」が指摘できるのである。しかも、今回は、「コロナ・ショック」がもたらした「実体経済のマヒ状態」により、より一層、「実体経済」と「マネー経済」との「圧力差」が高まったものと想定されるのである。
別の言葉では、「風船が破裂する状況」、あるいは、「津波が陸上を襲う状況」のことでもあるが、現在では、「世界的な価格上昇が、いろいろな商品で発生し始めている段階」とも言えるのである。つまり、「中央銀行の窮状」や「国家財政の悪化」などが、多くの国民に知れ渡った結果として、世界の資金が、徐々に、実物資産へ向かい始めている状況のことである。
そして、この点がはっきりと理解される条件としては、「国債価格の暴落」、あるいは、「デリバティブの完全崩壊」でもあるが、現在では、徐々に、世界的な「資金のひっ迫状態」が姿を現し始めているのである。つまり、「債務不履行」や「破綻」などが、世界各国の、いろいろな分野で発生し始めているが、今後、最も注目すべき点は、やはり、「紙幣はコンピューターネットワークの中を流れることができない」という事実が認識されること、すなわち、「金融界の白血病」が発症する事態だと考えているが、実際には、時間的な余裕がなくなった状況のようにも感じている。