本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.12.20

世界株の時価総額

12月20日付けの日経新聞によると、世界株の時価総額が、史上初めて100兆ドルを超えたとのことである。具体的には、12月18日時点で「100兆1872億ドル(約1京319兆円)」にまで増えているわけだが、この点については、決して、「GDPとの比較」で判断してはいけないものと考えている。つまり、「実体経済」を象徴する「GDP」には、「デリバティブなどの金融商品」が含まれていないために、「妥当な時価水準」を判断するためには役立たないものと想定されるのである。

そのために、私自身は、「約10京円」とも想定される「マネー経済との比較」を用いているが、この観点からは、「現在の株価上昇が、まだ序の口段階である」と言えるようにも感じている。つまり、現在は、「ギャロッピング・インフレ」という「実体経済の名目的な価格上昇」の初期段階にあり、そして、今後、この動きは、株価の上昇が「マネー経済の水準」に追いつく段階まで継続するものと考えられるのである。

具体的には、「世界株式の時価総額が約10京円にまで急増する事態」のことだが、この点については、「1923年のドイツ」や「1991年のソ連」、あるいは、「1945年の日本」などが参考になるものと考えている。つまり、「マネーの性質」から予想される現象は、「世界各国の中央銀行が、今後、大量の紙幣増刷に奔走する事態」であり、また、「大量の通貨が、紙幣の形で市中に出回る状況」とも言えるのである。

そして、このことが、本当の「インフレ(通貨価値の下落)」を意味しているが、実際には、「ケインズ」が指摘する通りに、「100万人に一人も気づかないうちに進展している状況」とも考えられるのである。つまり、ほとんどの人は、「ハイパーインフレ」という「物価や金利の上昇が10%台に到達し、その時から始まる劇的な通貨価値の暴落」に遭遇した時に、初めて、「インフレが発生している事態」に気付くものと思われるのである。

より具体的には、現在、「西洋の物質文明」から「東洋の精神文明」への移行が進展している事態に気付くことでもあるが、この点については、やはり、「神の計らい」とでも呼ぶべき展開が進行しているようにも感じている。つまり、「人類が、より一層の進化をするために、通貨が神から紙への変化をする必要性が存在する」、そして、「このような状況下で、人類の偉大な覚醒が始まる可能性」のことである。そして、このことが、「ヤスパース」が想定していた「第二の枢軸時代」とも思われるが、私自身としては、この点を理解するために、「空の思想」が根本的に見直される必要性があるようにも感じている。