本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.1.21

権力の暴走からマネーの暴走へ

1月に報道された「文在寅大統領による対日宥和政策への転換コメント」には驚かされたが、この背景としては、米国を始めとして、世界的な「権力暴走の終焉」が指摘できるものと感じている。具体的には、「非理法権天」という言葉のとおりに、「コンプライアンス(法律順守)の時代」の後に、「権力暴走の時代」が到来した状況のことだが、現在では、すでに、「天地自然の理が働く時代」へ移行し始めているものと想定されるのである。

より詳しく申し上げると、「西洋の時代(西暦1200年から2000年)」の末期に誕生したのが、いわゆる「資本主義の時代(西暦1800年から2000年)」であり、このことは、「お金(資本)が、最も大切なもの(主義)である」という「人々の認識」を表していた時代だったのである。しかも、「1971年のニクソンショック」以降は、私が提唱する「信用本位制の時代」となり、この時には、「デジタル通貨、そして、デリバティブ(金融派生商品)が大膨張した時期」だったことも見て取れるのである。

つまり、「西洋の時代」においては、「唯物論」という言葉のとおりに、「物質面における成功」を追求することが「合理的な考え方や行為」であり、その結果として、最後の段階では、「究極の物質」とも言える「マネー(お金)」が、史上最大規模の大膨張をし、結果として、世界的な超低金利状態が発生したことも理解できるのである。別の言葉では、「大膨張したマネー」が「政治的な権力」を生み出し、その結果として、「市場のコントロール」という「大きな歪み」が発生した状況のことである。

しかし、今回の「米国大統領の交代」、そして、「文大統領の豹変」が象徴することは、前述のとおりに、「権力の暴走」が終焉し、「天地自然の理」や「大自然の摂理」が働き始めた状況のようにも感じられるのである。つまり、「人類は、大自然を支配すべきである」というような「人類の奢り」が、「異常気象」や「コロナ・ウイルス」などを発生させたものと思われるが、このことは、「人類が大自然から淘汰される時代」の始まりを意味している可能性も想定されるのである。

別の言葉では、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊」と同様に、「西洋の時代から東洋の時代への大転換」が発生している状況のことだが、この点に関して注目すべき事実は、「海中のビーチボール」に例えられている「現在の市場コントロール」だと感じている。つまり、大きな力で抑え込まれていた「世界の金利」が、今後、急上昇する可能性であり、実際には、「紙幣の大増刷」が引き起こす「マネーの暴走」のことである。