本間宗究(本間裕)のコラム
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2021.8.24
5000年来の低金利
現在でも、人々の興味と関心は「デルタ株の爆発的な感染」に向かっているものと思われるが、この点に関して、私が感じることは、その裏側で進行している「日経新聞の金利に対する態度変化」である。具体的には、「8月9日」と「8月24日」に、「意図的な国債バブル」に関する記事が掲載された状況のことだが、実際には、「2015年に英国中央銀行のエコノミストが語ったコメント」が、現在になって取り上げられているのである。
より具体的に申し上げると、「我々は、意図的に、史上最大の国債バブルを膨らませてきた」というものだが、この事実に関する注目点は、「なぜ、今になって、このようなコメントを発信し始めたのか?」ということである。そして、この理由として挙げられることは、今まで詳しく説明してきたとおりに、「現在、デリバティブのバブル処理ができなくなり、連鎖的な破裂を待っている可能性」である。
より具体的には、「2008年前後のGFC(金融大混乱)」という「金融の大地震」で発生した「インフレの大津波」が、その後、「10年以上の時間をかけて、いよいよ、世界全体を襲い始めた状況」のことだが、現在では、どのような手段をもってしても、この事実が隠しきれなくなった段階とも思われるのである。つまり、「2015年から現在までは、意図的な国債バブルの発生により、デフレ状態の演出が可能だった」という状況でもあったが、現在では、「世界的な資金が、実物資産への移行を始めたことにより、インフレが隠しきれなくなった状態」とも考えられるのである。
そのために、現在、先進各国の政府や金融当局者が意図することは、「金利上昇に備えて、徐々に、警告的なコメントを発出すること」とも想定されるが、実際には、「5000年来の低金利」が象徴するとおりに、「これから想定される金融大混乱は、人類史上、未曽有の規模になる可能性」が存在するのである。つまり、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」は、現在、破綻の危機に瀕するとともに、「紙幣の大増刷」により、「金融界の白血病」に見舞われる恐れが存在するのである。
具体的には、「デジタル通貨の枯渇」により、「意図的な国債バブルが破裂する可能性」のことでもあるが、この時の注目点は、「国債バブルの裏側に存在するデリバティブのバブル」とも言えるのである。つまり、「1980年代の初頭から発生したデリバティブの大膨張」は、現在でも、「約6京円」もの規模が存在し、「国債や社債」などとともに、「目に見えない金融ツィンタワー」とでも呼ぶべき状態となっているのである。