本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.3.20

デジタル通貨の二面性

「言語学」と同様に、「デジタル通貨」においても「二面性」が存在するものと考えているが、具体的には、「言語が、表面上の文字や音を通じて、内面的な人や動物の思いを伝えている状況」と同様に、「デジタル通貨が、コンピューターネットワークを通じて、数字の情報のみならず、人々の信用を伝えている状況」のことである。つまり、表面上の「文字や音、あるいは、数字」などを利用して、「人々の心の奥底に存在する感情」までをも伝えてきたわけだが、この時の注意点は、「片方の面だけが注目され、存在感が大きくなりすぎた時に、機能が暴走する可能性」だと考えている。

より具体的に申し上げると、現在の「デジタル通貨」は、「信用の伝達」よりも「情報の伝達」という機能が強くなりすぎた結果として、「信用面で抜け落ちた部分が無視できなくなった状況」とも考えられるのである。つまり、「アナログ」という「大自然の複雑さ」や「人情の機微」などが抜け落ちた結果として、「お金さえあれば、心などは関係ない」というような理解をする人々を、大量に生み出したことも見て取れるのである。

しかも、「デジタル通貨の大量創造」により、「地球環境の破壊」という副産物までをも生み出したものと思われるが、この原因としては、やはり、「物質文明の偏重」という「二面性の歪み」が挙げられるものと感じている。そして、現在の「世界的な混乱」も、「宗教はアヘンである」と理解する「共産主義や社会主義」を信奉する人々が、「軍事力や資金力で世界を制覇すべきである」と錯覚した結果の出来事のようにも思われるのである。

そのために、これから必要なことは、「信用は、瞬間的に崩壊する」という言葉を思い出しながら、「現在のロシアが、ハイパーインフレの初期段階にある事実」を認識することだと考えている。つまり、「ウクライナへの軍事侵攻により、ほぼ瞬間的に、ロシアが世界的な信用を失った状況」、そして、「現在のロシアで、30年前のハイパーインフレと似たような状態が発生し始めている状況」については、「将来の西側諸国を象徴しているのではないか?」とも感じられるのである。

具体的には、「金融界の白血病」、すなわち、「デジタル通貨が紙幣に移行する状態」により、「デジタル通貨の情報伝達機能」が失われる可能性である。つまり、「現在のロシアと同様に、信用が失われた通貨に対して、商品を交換しようとする人々が激減する状態」が予想されるために、今後の数か月間については、「ロシアと世界全体が、どのような展開を見せるのか?」に注目している次第である。