本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.3.23

アリとキリギリス

1980年代の思い出としては、「日本人の奢りや傲慢さ」が指摘できるが、「バブルの絶頂期」で言われたことは、「アリとキリギリスの物語」だった。具体的には、「日本人はアリのような働き者だから、世界でも有数の金持ち国になった」ということであり、また、「イタリア人などは、遊んでばかりいるキリギリスのような存在だから、経済的な発展を達成できないのではないか?」というものだった。

しかし、この点については、現在の状況を考えると、まさに「冷や汗ものの状況」とも言えるようだが、実際のところ、「現在の日本人」については、「政治家や官僚を始めとして、嘘や隠ぺいが横行している状況」となってしまったのである。つまり、「自分は働かずに、他人の税金を頼みにしている人々が、国家の権力を握っている状態」となっており、その結果として、「日本の国家財政は、きわめて危機的な状況」となっているのである。

より詳しく申し上げると、「1868年の明治維新」以降、「西洋に追いつき、追い越せ」というスローガンを掲げて、「アリのようにがむしゃらに働いてきた人々」が、現在では、「キリギリスのような生活を好む人々」に変化してしまったのである。そして、この点については、「1980年代に、アメリカ人から指摘されたこと」でもあったが、実際には、「日本は、アメリカから、30年遅れの状態にある」ということだった。

ただし、このことは、「世界の西洋化」、すなわち、「マネーの大膨張が世界全体に及ぶ過程で、悪魔のひき臼により、人々の心が粉々にされる状態」に関して、「文明法則史学が教えるとおりの展開」だったことも見て取れるのである。つまり、「神の計らい」として、「文明の二重構造」が必要とされ、その結果として、「世界全体の進化と創造が繰り広げられる可能性」のことである。

そのために、現時点で必要なことは、従来の考えである「アリが正しく、キリギリスは悪である」というような「単純化した意見」ではなく、「量子力学」や「分子生物学」などが切り開いている「新たな認識や考え方」だと考えている。つまり、「人間社会」の前提である「大自然界の法則」と、その前提とも言える「法界(ほっかい)の法則」、すなわち、「仏教やユング心理学などが指摘する、目に見えない、心の奥底にある世界」を模索することである。そして、このことが、今後の「世界的に発生する難問」を解決する「一番の近道」とも思われるが、その前に起こることは、やはり、「世界中の人々が、現実を直視せざるを得なくなるような大事件の発生」とも言えるようである。