本間宗究(本間裕)のコラム
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2022.8.1
77回目の敗戦記念日
今月は、「1945年8月15日の敗戦」から「77年目の記念日」を迎えるが、この点に関する現在の感想は、やはり、「当時の日本人が、天皇陛下の玉音放送まで、日本の敗戦を認めようとしなかった事実」である。つまり、「軍事力の壊滅的な喪失に見舞われ、また、全国各地がB29の大空襲に襲われようとも、日本国民が、戦争に負けるとは信じていなかった状況」のことである。
ただし、いったん、敗戦を認識した日本国民は、ご存じのとおりに、「軍国主義から民主主義への大転換」を、驚くべきスピードで実践したわけだが、この事実を現在の状況に当てはめると、興味深い展開が見えてくるものと感じている。つまり、「日本の軍部」は、「原子爆弾」という「未知の強烈な破壊力を持つ兵器」に直面した時に「敗戦」を認めたわけだが、現時点では、「金融界の大量破壊兵器」と呼ばれる「デリバティブ(金融派生商品)」の破裂が、「原子爆弾の投下」に匹敵する事件のようにも思われるのである。
より詳しく申し上げると、「日中戦争から大東亜戦争」へと続く軍事的衝突に疲れ果てていた日本国民は、「二個の原爆投下」という大事件の発生により、あっという間に、「軍国主義」を放棄したものと思われるのである。別の言葉では、「日本は神の国であり、決して、戦争に負けるはずがない」と信じ込まされていた人々が、「天皇陛下の玉音放送」により、目が覚めた状況だったようにも感じられるのである。
そして、その後は、「軍事力」ではなく、「金融力」による世界進出を目論んだわけだが、結果としては、「実体経済の成長期」だった「1945年から1980年代」までは、「世界の奇跡」と呼ばれるほどの成功例となったことも見て取れるのである。つまり、「モノ作り」に関しては、世界でも飛び抜けた才能を発揮することができたわけだが、問題は、「金融商品」に関して、ほとんど理解が進まず、世界から後れを取った事実だと感じている。
より具体的に申し上げると、「高度経済成長の神話」や「銀行預金の安全神話」などに囚われた結果として、「世界の金融商品やデジタル通貨が、どのような発展を遂げたのか?」が、ほとんど理解されていなかった状況のことである。そして、「大量のデジタル通貨を背景にした、いわゆるDX革命が、今後も永遠に継続する」というような錯覚を基にして、「デジタル通貨が神様のような存在」となったわけだが、今後は、77年前の「天皇陛下の人間宣言」と同様に、「デジタル通貨が、神から紙へ変化する事態」が想定されるとともに、全く新たな時代が幕を開けるものと考えている。