本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2023.6.6

6月のFOMC

現在の「市場の関心事」として、「6月のFOMCで、再度の利上げが実施されるかどうか?」という問題が挙げられているが、この点については、「三次元と四次元の経済学の違い」で説明が可能なものと考えている。つまり、「現在の状況」だけを切り取って分析する「三次元の経済学」では、「今までの利上げにより実体経済が悪化し、その結果として、今後は、利下げが実施される」という意見が主流の状況のようにも思われるのである。

しかし、一方で、「時間の経過とともに、社会や空間が、どのような変化を見せるのか?」を考える「四次元、あるいは、動態経済学」においては、「金(ゴールド)を基にして創られたフィアットマネー(政府などの信用により膨張した貨幣)が、ハイパーインフレにより発散、あるいは、雲散霧消しない限り、インフレ率は加速度的な上昇を見せる」という結論が導かれるのである。

別の言葉では、「過去100年間に、どれほどのフィアットマネーが創造されたのか?」を理解すると、「金利の上昇により、インフレ率が下落する」というような意見には賛同できず、反対に、「これから発行されるCBDC(中央銀行デジタル通貨)、あるいは、大量の紙幣により、インフレ率のみならず、金利の急騰も予想される状況」とも考えられるのである。具体的には、現在、「米国の債務上限問題」が、「一時的な停止状態(サスペンション)」という結果に落ち着いたものの、間もなく、「約1兆ドルの政府短期証券が発行される可能性」が危惧される状況とも言えるのである。

より具体的には、「誰が、大量の政府短期証券を引き受けるのか?」ということでもあるが、実際には、「低金利の預金口座から高金利のMMFへ流れた資金が、今後も政府の資金繰りを賄う状況」が継続するものと想定されるのである。別の言葉では、「利上げを継続しない限り、政府の資金繰りに問題が発生する状況」のことでもあるが、この結果として発生するのが、「民間金融機関の更なる破綻」とも言えるのである。

しかも、今回は、今まで、ほとんど報道されなかった「約600兆ドルのOTCデリバティブ」に関連する「G-SIBs(グローバルな金融システム上重要な銀行)」に関しても、さまざまな問題が発生する状況も想定されるのである。つまり、これらの銀行群にも資金繰りの問題が発生する状況のことだが、この時に予想される展開は、「CBDCの大量発行で資金供給を行う状況」であり、また、より大きな問題は、やはり、「その資金を受け取った国民が、すぐに市場で実物資産に交換する可能性」だと考えている。