本間宗究(本間裕)のコラム
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2023.9.13
金価格10倍と1ドル200円到来への道筋
今から20年ほど前の「2002年」に、「金価格10倍と1ドル200円到来への道筋」というビデオを製作、発売し、「2010年前後にこの目標が実現される可能性」を想定していたが、実際には、「2023年になって、ようやく、金価格10倍の目標が、ほぼ実現された状況」ともいえるのである。そのために、今回は、反省も含めながら、「どのような理由で遅れが生じたのか?」、あるいは、「これからの世界において、どのような展開が予想されるのか?」などについて考えてみたいと思う。
そして、現時点での反省点としては、やはり、「2000年前後から大膨張を始めたデリバティブに関して、全く予想ができなかった事実」が指摘できるが、当時は、「1990年に弾けた日本の土地と株式のバブルが、人類史上最高の規模ではないか?」と誤解していた事実が思い出されるのである。つまり、「日本を売れば、日本以外の南極も含めた土地が買える」といわれるほどのバブルが発生したために、「日本の土地総額の約2500兆円」という金額は、今後、二度と破られない記録のようにも感じられたのである。
しかし、実際には、その後、「デリバティブのバブルが発生し、残高が約8京円にまで膨らんだ」という状況であり、このことは、「日本のバブルの約30倍という規模」だったことも見て取れるのである。そして、このときに発生した変化は、「デリバティブという金融商品が、大量の商品のみならず、同量のデジタル通貨までをも、バランスシートの両面で生み出した状況」だったことも理解できるのである。
より具体的には、「1971年のニクソンショック」以降、「商品と通貨の質と形態」が変化し、「コンピューターネットワークの中で、大量の金融商品が、デジタル通貨により、瞬時に世界で取引される状況」のことである。別の言葉では、従来の経済理論では、全く理解できない「商品」や「通貨」が生み出されたために、既存の「インフレ指数」などが、ほとんど役に立たなくなったことも見て取れるのである。
しかし、現在では、「民間金融機関のオフバランス(簿外)で創り出されたデジタル通貨」が枯渇するとともに、従来の金融政策で「最後の手段」ともいえる「紙幣の増刷」が、「CBDC(中央銀行デジタル通貨)」の形で実施されようとしているのである。そして、この時に重要な意味を持つのが、「マネー(お金)の重要な役割」である「商品との交換機能」であり、今後は、80億人の人々が、通貨や政府への信頼を失うことより、「デジタル通貨が紙幣に形を変え、実物資産へと殺到を始める展開」も想定されるようである。