本間宗究(本間裕)のコラム
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2023.10.23
マネー大膨張の本丸
数か月前から、海外で盛んになり始めた「債券自警団」に関する報道が、現在では、日本でも出始めたが、この点に関する注意点は、「債務の膨張が、裏側に、資産の膨張を伴っていた事実」だと考えている。つまり、「バランスシート」が意味することは、「資産と負債とが同様の規模で膨張する仕組み」ではあるものの、この時の落とし穴としては、「バランスシートの非対称性」、すなわち、「資産価格には、価格の上下変動が存在するものの、一方で、負債は価格が固定される状況」が指摘できるものと感じている。
より詳しく申し上げると、「マネーの膨張時に発生する現象」としては、「資産価格の上昇に伴うバブルの発生」であり、実際には、「1980年代の日本のバブル」や「2000年前後に弾けたITバブル」、あるいは、「2008年前後にピークを付けたデリバティブのバブル」などのことである。そして、この時の注意点としては、「資産価値の下落が引き起こす不良債権の発生」であり、また、「不良債権が、民間部門から中央銀行や国家へと移行している状況」が挙げられるものと考えている。
つまり、現在の状況としては、「日本のバブル」で発生した不良債権が、その後、「デリバティブの大膨張」によって「民間金融機関の簿外勘定」に吸収されたものの、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」以降は、「中央銀行のバランスシート大膨張」が意味する「リフレーション政策」により、徐々に、「国家や中央銀行へ不良債権が移行した状況」とも理解できるのである。別の言葉では、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務」がもたらしたものは、「膨大な資産バブル」であり、また、その後に発生した「同金額の不良債権」とも考えられるのである。
より具体的には、「なんでもバブルの崩壊」により、現在では、「株式」や「債券」などへと向かっていた「世界の資金」が、現在では一斉に、「貴金属や原油などの実物資産」へと向かい始めた状況ともいえるのである。このことは、結局のところ、「資産価格の急落」がもたらす「膨大な不良債権の発生」が危惧されながらも、すでに「不良債権の担い手」が、「国家や中央銀行以外に存在しない状況」とも理解できるのである。
また、このような状況下で予想される大事件は、「マネー大膨張の本丸」ともいえる「OTCデリバティブ」の完全崩壊、すなわち、「世界的なメガバンクの破綻」であり、実際には、「26年前の1997年」と比較して、「約30倍の規模での大事件」が、今後の1年間に発生する展開を想定している。