本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.11.30

世界的な注目を浴び始めた日本のマイナス金利

現在、「日本のマイナス金利」が、世界的な注目を浴び始めているが、その理由としては、「世界で唯一継続されている日本のマイナス金利の解除により、世界的なハイパーインフレが発生する可能性」が危惧されているからである。別の言葉では、先進各国で進行している「クラウディングアウト」、すなわち、「国家による資金の吸い上げが引き起こす金利上昇」などに関して、「日本におけるマイナス金利の解除が、世界的に、リフレーションからハイパーインフレへの大転換を引き起こすのではないか?」という意見のことである。

より詳しく申し上げると、「バーナンキ元FRB議長」が指摘したように、「1990年代後半から、日銀が世界の金融政策をリードしてきた」という状況であり、特に、「中央銀行のバランスシート膨張による国債の買い付け」に関しては、他国が日本を参考にしてきた状況だったことも見て取れるのである。そして、現在では、「日本のマイナス金利解除により、一挙に、中央銀行による紙幣の大増刷が始まる可能性」が懸念され始めているが、その理由としては、「日銀の資金繰りに関する問題点」が危惧されているからである。

具体的には、「日銀が保有する国債の含み損が拡大する可能性」のみならず、「日銀が債務超過に陥る可能性」であり、この点については、「日銀が吸い上げた当座預金に対する利払い」が根本的な原因とも考えられるのである。別の言葉では、「米中の中央銀行におけるリバースレポと同様のシステムが、20年以上も前から、日本で実施されてきた状況」のことだが、今までは、「日本国民が保有する大量の銀行預金」や「経常収支の黒字」などに支えられ、「金利の上昇」にまでは結び付かなかったことも見て取れるのである。

つまり、今までは、「日銀が民間部門から資金を吸い上げながら、国債を大量買付けすることにより、マイナス金利の維持も可能だった」という状況だったものの、今後は、「利上げにより、一挙に、日銀の資金繰りが悪化する可能性」が危惧され始めているのである。具体的には、「マイナス金利の解除とともに、日銀が債務超過状態に陥り、資本注入が必要とされる可能性」であり、また、「米国などと同様に、国債の買い手が消滅する可能性」が懸念されているのである。

そして、この点については、「米国で危惧され始めたリバースレポ残高の枯渇」よりも、時期的に早くなる可能性も想定されるために、現時点で必要なことは、「日銀の資金繰り」のみならず、「デリバティブに関する民間金融機関の破綻が、アメリカからではなく、日本から発生する可能性」までをも考えることのようにも感じている。