本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.1.30
共同体の統合と分裂
「共同体の規模拡大に伴い、マネーの残高が増大する」というように、「マネーの残高」と「共同体の規模」には「正比例の関係性」が存在するものと思われるが、一方で、「共同体の規模」に関する「共同体の統合と分裂」においては、「文明法則史学の1600年サイクル」が大きな影響力を持っているものと感じている。つまり、「貨幣の歴史」をたどると、「西暦400年前後の西ローマ帝国」と「西暦2010年前後のグローバル共同体」という「貨幣の質と量に関する二つの大きなヤマ」が存在するものと考えられるのである。
具体的には、「西ローマ帝国の崩壊前に、貨幣の質が低下しながらも、残高がピークを付けた状況」のことであり、この点については、「1971年のニクソンショック以降、デリバティブの大膨張とデジタル通貨の発展により、グローバル共同体の内部で、大量のマネーが創造された状況」を彷彿とさせるような状況だったものと考えている。別の言葉では、「パンとサーカス」の生活を維持するために、「財政赤字とインフレ」に悩まされている状況を表すとともに、「西暦476年に発生した西ローマ帝国の滅亡まで、『信用消滅』が継続した可能性」のことである。
このように、「共同体の統合と分裂」が、世界の歴史を見るうえで、大きな意味を持っているものと感じているが、この時の注目点は、「共同体の統合」が「価値観の統一」に繋がる状況でありながら、一方で、「共同体の分裂」は「価値観の多様化」を促進する可能性である。つまり、統合の時には、「正義と正義の戦い」が繰り返されながら、「勝者の論理に敗者が従わざるを得なくなる状況」のことであり、実際には、「度量衡の統一」だけではなく、「勝者の通貨が、徐々に、世界的な基準通貨になる展開」などのことである。
その結果として、「2010年前後に成立したグローバル共同体」においては、「覇権国家の米国」が「大量のデリバティブを利用して、市場価格のコントロールを実施した状態」にまで「価値観の画一化」が進行したものと考えられるのである。そして、このような状況下で発生したのが、「2008年のリーマンショック」だったが、その後の展開としては、ご存じのとおりに、「グローバル共同体の分裂」を意味する「東西の冷戦状態」が復活したことも見て取れるのである。
そのために、これから予想される事態は、「価値観の多様化がもたらす共同体のさらなる分裂」や「信用消滅がもたらすデジタル通貨の完全崩壊」であり、実際には、「西暦2076年に向かって、徐々に、金(ゴールド)の価値が高まる展開」だと考えている。