本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.2.22
西洋諸国の国家債務爆弾
現在においても、「景気が悪くなると金利が下がる」というような意見が、マスコミで頻繁に見受けられるが、この点には、大きな注意が必要であり、実際には、「景気の悪化」と「金利の上昇」が同時に発生する事態も想定されるようである。別の言葉では、「過去100年間に30か国以上の国々で発生したハイパーインフレ」に関しては、すべての国々で、「景気の急激な悪化がもたらす金利の急騰」が発生したことも見て取れるのである。
より詳しく申し上げると、「GDP」と「国家債務」の関係において、「国家債務の比率が高くなりすぎた時に、クラウディングアウトが発生し、金利が急騰する展開」のことであり、この点については、「今後の日本」が、典型的な具体例になるものと感じている。別の言葉では、「1999年から始まった日本の実質的なゼロ金利、あるいは、最近のマイナス金利」が、将来的に、「金融システムの破綻メカニズム」を説明する教科書的な具体例として語り継がれる可能性のことであり、実際には、「金利を上げると、日銀が破綻するだけではなく、世界の金融システムが崩壊する可能性」のことである。
つまり、「民間金融機関が保有する預金」が「中央銀行」に吸い上げられるとともに、「国債」などに投資されている状況のことでもあるが、この結果として、現在では、「民間の金融機関において、資金的な余裕がなくなり始めた状況」となっているのである。より具体的には、「国民の預金」が「日銀の当座預金」として吸い上げられるとともに、「国債」などに投資された結果として、典型的な「短期借り、長期貸し」の事態が発生したために、さまざまな「資金繰りの問題」が発生している可能性のことである。
実際には、今後、「日本の短期金利が0.5%にまで上昇すると、当座預金に対する利払い金額が上昇し、その結果として、日銀が債務超過の状態に陥る可能性」であり、また、同時に憂慮すべきは、「保有する国債価格の下落により、多くの金融機関で、大量の不良債権が発生する状況」のことである。
つまり、日銀は、過去25年余りの期間において、「超低金利状態」を維持しながら、「国家の債務爆弾が破裂するのを先送りしてきた状況」だったが、現在では、「急激な円安」や「不調な国債入札」などにより、「金利の急騰」が抑えきれなくなった状況とも想定されるのである。しかも、今後は、「金融界の大量破壊兵器」と呼ばれる「デリバティブ」のバブル崩壊の可能性も想定されるために、これからの数か月間は、「人類史上においても、きわめて要注意の期間ではないか?」とも感じている次第である。