本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.2.23

1989年と現在との違い

「日本株の最高値更新」という出来事を見て、多くの人が興奮状態にあるようだが、私自身としては、大きな違和感を覚えざるを得ない状況であり、その理由としては、「38915.87円」という数字の「絶対的、および、相対的価値」が気になるからである。つまり、「絶対的価値」としては、確かに、「日本株が、最高値を更新した」という事実には間違いがないが、「1929年の米国大恐慌の時には、最高値の更新までに、25年しかかからなかった」という事実からは、「日本株上昇の時間的な遅れ」が目立つ状況とも言えるのである。

しかも、「相対的価値」である「他市場との比較」からは、日本の「株式市場」のみならず、「経済的地位」や「技術力」などの低下も気になるために、今回の株高については、決して、手放しで喜べるような状況ではないものと思われるのである。つまり、膨大な規模に成長した「海外の金融市場」を考えると、現在は、「何でもバブルの最終章」が近づいている段階であり、「今回の株高は、世界で最も出遅れていた株式市場の日本に、大量のデジタル通貨が流れ込み始めた事実」を表しているだけの状況のようにも感じられるのである。

別の言葉では、「マネーはストックであり、実体経済はフローである」という事実、すなわち、「大量に創られたデジタル通貨は、さまざまなバブルを引き起こし、最終段階で、実物資産におけるバブルを発生させる可能性」を再認識する必要性のことである。しかも、現時点で必要なことは、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)以降に発生した、さまざまなバブル」に関して、「バブルの崩壊後に、次のバブルに向かって、大量のデジタル通貨が流れ出している事実」を理解することとも考えられるのである。

つまり、「マネーの残高と性質」が理解できた場合には、今回の「日本株の最高値更新」が、決して、単純に喜べるようなものではなく、反対に、「近い将来に、きわめて巨大なインフレの大津波が世界を襲う展開」を危惧せざるを得ない状況ともいえるのである。そして、この理由としては、「2008年前後のデリバティブのバブル」が「日本のバブル」と比較して「約30倍の規模」であり、そのために、これから予想される「世界的な金融大混乱」と「実物資産への資金流入額」も、同様の規模になるものと考えられるからである。

そのために、現時点で必要なことは、「決して、目先の価格変動に惑わされることなく、次の展開に向かっての準備を、着実に実行すること」であり、実際には、「自分の資産を点検しながら、貴金属や資源株、そして、食料品関連など割安株や6ヶ月分の食料などを保有すること」だと考えている。