本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.4.25

目に見えない金融ツインタワーの現状

「目に見えない金融ツインタワー」に関しては、今まで、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界的な債務残高」を想定していたが、実際には、「約300兆ドルの世界的な債務残高の上に、不動産と株式が乗っていた状況」のようにも感じている。つまり、「オンバランスの金融タワー」と「オフバランスの金融タワー」が共存していた状況とも思われるが、現在では、「何でもバブルの崩壊」により、「債券や不動産、そして、株式において、大量の不良資産が発生し始めた段階」とも考えている。

別の言葉では、「オンバランスの不良資産」の存在が、人々の目に明らかになり始めたものの、もう一方の「オフバランスの不良資産」については、いまだに、隠蔽されたままの状態のようにも感じられるのである。つまり、「債券の価格下落(金利の上昇)」が不十分な状態のために、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」の存在が、いまだに、世界的に気付かれていない状態とも考えられるのである。

そのために、今後の注目点は、「米国の30年国債価格が、さらなる暴落を始める状況」であり、実際には、「2023年の10月の価格を下回る時に発生する衝撃」のようにも感じている。つまり、「民間企業と個人」、そして、「民間金融機関」と「中央銀行」のみならず、「国家」のバランスシートまでをも考えると、現在は、「資産と負債の差が産み出す不良資産」の残高が、急速に増加している状況とも想定されるのである。

より具体的には、「債券と不動産」に加えて、現在では、「株式のバブル崩壊」までもが加わり始めた状態であり、そのために、今後は、「債券価格の急落がもたらす世界的な資金の枯渇」が問題視され始める状況も想定されるのである。つまり、「債券と不動産、そして、株式」などの「オンバランス部分の金融タワー」に関しては、現在、人々の注目が集まっているものの、もう一方の「オフバランス部分の金融タワー」に関しては、いまだに、ほとんどの人が存在さえも知らされていない状態とも考えられるのである。

そして、このことが、「金融界の大量破壊兵器」と言われた「デリバティブの破裂」であり、「人類史上、最大のブラックスワン」とも言えるようだが、タイミングとしては、前述のとおりに、「米国の30年国債価格」がカギを握っている状況のようにも感じている。つまり、「世界的な国債の買い支え」が限界点に達する時が、「目に見えない金融ツインタワー」が崩壊する時であり、実際には、「数か月以内に発生する可能性」が高まっている状況のようにも思われるのである。