本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.5.13

マネーの膨張メカニズム

現代の経済理論に抜け落ちているのは「マネー理論」であり、特に、「マネーの膨張メカニズムに対する理解」とも感じているが、実際には、「過去2000年間に、どのような通貨が、どれほどの規模で作り出されたのか?」の分析である。つまり、現在のような「大量のデジタル通貨が、世界的なコンピューターネットワークの中で、縦横無尽に動き回る社会」が出来上がるまでには、きわめて長い時間が必要だった状況の理解である。

そして、この時に必要なことは、「分業がもたらした生産性の向上であり、また、目に見えない信用の量の増加」を認識することだと考えているが、実際には、「無人島に一人で生活する時には、貨幣が存在しなかった状況」の理解とも言えるのである。また、その後の展開としては、「共同体の規模拡大」により「分業化の進展がもたらす生産性の向上」が発生したことも見て取れるのである。

このように、現代社会は、「グローバル共同体」という言葉のとおりに、「2008年前後に、共同体の規模がピークを迎えた状態」であり、その後は、「東西の冷戦激化」により、すでに、「共同体の規模が、劇的な縮小を始めている段階」とも言えるのである。つまり、「目に見えない信用」が「目に見える通貨」に変換されるものの、その後は、「世界的な不信感の増加により、共同体の規模縮小が始まった状況」とも考えられるのである。

より詳しく申し上げると、「過去2000年間の世界的な金融システムや通貨制度」を俯瞰した場合、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」については、それまでの「金(ゴールド)を本位とした通貨制度」とは違い、「経済成長や政府に対する信用」だけを基にして「大量のデジタル通貨」が産み出された状況だったことも理解できるのである。別の言葉では、「人類史上、まったく初めての実験が、世界の金融市場が行われた状況」とも言えるために、今後の資産運用や、世界経済への対応としては、この点に対する理解や認識が必要不可欠の状況とも考えられるのである。

より具体的には、「信用消滅がもたらす世界的な金融大混乱」が発生する可能性のことでもあるが、実際には、「世界中で開花したデジタル通貨の文明社会が、急速にしぼみ始める可能性」である。つまり、今までのデジタル社会では、「0と1との間に存在する人間の感情や思い」などが切り捨てられ、その結果として、「お金儲けのためなら、どのようなことでも行う人間」が増えていたものの、今後は、「お金よりも命のほうが大切である」という「当たり前の認識」が復活するものと想定されるのである。