本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.5.16

激化する米中対立

5月14日に米国が発表した「中国からの輸入品に対する関税の大幅引き上げ」については、「米中の対立激化」を象徴し、また、「ロシアのプーチン大統領の訪中」については、「東西冷戦構造の激化」を表す出来事の一つのようにも感じている。つまり、現在の「世界的な混乱」については、軍事や金融面など、きわめて広範囲にわたっての対立とも言えるために、多くの人々は、「これから、どのような時代が待っているのか?」に関して、大きな不安感を抱いている状況のようにも思われるのである。

別の言葉では、「歴史の全体像」が見失われた状態とも思われるが、私自身としては、反対に、「シュペングラーの西洋の没落」や「村山節の文明法則史学」などにより、「今後、どのような社会が形作られていくのか?」が、ある程度、見えてきたものと考えている。つまり、「日本」を始めとした「国家の過剰債務問題」を直視した時に、現在の「世界的な金融混乱」が、今後、どのような結末を迎えるのかが理解できるものと思われるのである。

具体的には、「マネー理論」が教えるとおりに、「財政ファイナンスにより、国家債務が棒引きにされる可能性」が高まっているために、今後は、「負債のみならず、資産までもが、急激な残高減少に見舞われる展開」を覚悟することが必要だと感じている。つまり、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」の破綻により、「800年間も継続した西洋的な富の時代が終焉する可能性」の認識である。

そして、このような前提条件のもとに、「1600年前の中国は、どのような時代だったのか?」を見直すと、「西暦424年」が「五胡十六国の時代」であり、その後、「西暦439年から南北朝の時代が始まった展開」だったことも理解できるのである。つまり、西洋では、「西ローマ帝国の崩壊」に見舞われるとともに、東洋でも、「小さな国々が対立していた状況」だったことが見て取れるのである。

そのために、現時点で必要なことは、いまだに表面化していない「金融界の大量破壊兵器」と呼ばれる「デリバティブ」の完全崩壊に対する備えであり、実際には、「未曽有の規模での世界的な金融大混乱の発生」に対して、「貴金属や資源株、そして、食料」などを保有し、混乱時期を無事に乗り切ることだと考えている。別の言葉では、「11次元にまで進化した自然科学」に期待しながら、「三次元に留まっている社会科学の進化」を待つことでもあるが、この時に参考になるのが、「1600年前の中国で発展した仏教の研究であり、また、数多くの寺院建立」だと感じている。