本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.5.23

1%の長期金利

5月22日の「日本の債券市場」では、「10年国債の金利が、11年ぶりに1%に乗せた」というニュースが、大きな話題となったが、この点については、「今までの債券市場が、どれほど異常な状態に陥っていたのか?」を表している状況のようにも感じている。別の言葉では、「今後、債券市場が、きわめて大きな価格変動に見舞われる可能性」も表しているものと思われるが、その理由としては、従来の「長期金利は、政府や金融当局者が操作できない性質のものである」という認識が失われていることが見て取れるからである。

より詳しく申し上げると、現在の「金融市場の常識」としては、「短期金利のみならず、長期金利も、金融当局者の思いのままに操作可能である」という理解のようにも思われるが、実際には、「1990年代の後半から始まったデリバティブの大膨張」が、前述の「金利に関する意識変化」の根本的な原因とも思われるのである。つまり、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」においては、「政府や一部のメガバンクが、創造された大量のデジタル通貨を使うことにより、金融市場をコントロールした状況」だったものの、今後は、この点に関するきわめて大きな反動が発生する展開も想定されるのである。

具体的には、価格操作されてきた「債券」のみならず、「株式」や「為替」、そして、「商品」などの価格が、すべて大きな変動に見舞われる可能性であり、この点については、今後の相場により、実態が明らかになるものと想定している。つまり、今回の「11年ぶりにつけた1%の長期金利」は、「異次元の金融緩和」と呼ばれた「黒田前日銀総裁の金融政策」が、「どれほど異常なものだったのか?」を意味しているものと思われるのである。

そのために、これから必要とされることは、「約760兆円」にまで大膨張した「日銀のバランスシート」に関して、「今後、どのような変化が発生するのか?」を考えることであり、実際には、「1945年の日本」と同様に、「さらなる残高膨張により、国家の債務残高を実質的に減らす方法」が取られるものと考えている。つまり、「ハイパーインフレを発生させ、国家の借金を棒引きにする方法」のことでもあるが、今回の問題点は、やはり、「世界全体が、同様の問題に悩まされている状況」とも言えるのである。

別の言葉では、「文明法則史学」が教える「800年ごとの東西文明の交代」が発生している状況とも思われるために、今後の対応策としては、「歴史の全体像」を考えながら、丁寧な「未来予測の実行」が挙げられるものと感じている。