本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.5.29

日本10年国債の価格急落

海外で、多くの識者が警告しているように、現在、「世界の金融システム」は、きわめて危機的な状況に陥っているが、この点に関して、今回、「日本国債の価格急落(金利は急騰)」という、きわめて憂慮すべき現象が発生し始めたものと考えている。具体的には、「日本の10年国債の金利が1.075%にまで上昇」という展開のことだが、このことは、「金利」と「為替」という「国家の体力を計るバロメーター」の両輪に関して、「日本国家が、すでに、混乱状態に陥った状況」を現しているものと感じている。

より詳しく申し上げると、今までは、「円安」の容認により、「金利の上昇」を防いでいた状況だったが、現在では、「国債の買い支え」に必要な資金が枯渇し始めたために、結果として、「国債価格の下落」に見舞われ始めたものと考えられるのである。別の言葉では、今までのような「時間稼ぎ」と「問題先送り」の金融政策が継続できなくなったために、今後は、たいへん近い将来に、「債務の貨幣化」という「財政ファイナンス」が実施される可能性が高くなったものと思われるのである。

より具体的には、「CBDC(中央銀行デジタル通貨)」や「紙幣」の大量発行により、「国債の買い付け」や「不良資産の救済」などが実施される可能性のことでもあるが、この点については、先日の「農中の巨額損失」などが、水面下で、大きな影響を与えた可能性も考えられるようである。別の言葉では、今まで隠されてきた「人類史上、最大級の金融バブル」ともいえる「約600兆ドルのOTCデリバティブ」の崩壊が、間もなく表面化する可能性のことである。

つまり、今までは、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制」と呼ぶべき通貨制度において、「単なる数字」が「デジタル通貨」となり、「世界のコンピューターネッワークの中で大増殖した状況」だったが、現在では、いよいよ、崩壊の段階に差し掛かったものと考えられるのである。そして、このことは、「資本主義の崩壊」を意味するとともに、「西洋文明の終焉」を象徴する出来事のようにも感じている。

具体的には、「マネーの大膨張」がもたらした「価値観の画一化」、すなわち、世界中に広まった「お金(資本)が、最も大切なもの(主義)である」という認識の終焉でもあるが、これから必要なことは、「歴史の全体像」を理解しながら、「なぜ、このような状態に陥ったのか?」を考えることであり、この方法により、「三次元」にとどまっている「社会科学」が、今後、四次元から五次元への進化を遂げるものと感じている。