本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.6.25

カーブの先に見える世界

アメリカでは、最近、「behind of the curve(時代からの乗り遅れ)」や「ahead of the curve(時代の先取り )」などの表現が、以前よりも頻繁に使われ始めているようだが、このことは、「社会科学や言語の次元上昇」を表しているものと感じている。つまり、「三次元の曲線や曲り道」などの意味をもっていた「curve」という言葉が、現在では、「四次元の時代」の意味を持つ言葉として使われ始めているからである。

換言すると、「人々の興味と感心」が、「現実の理解」だけではなく、「未来予測」へと移行を始めた事実を表しているものと思われるが、この時の重要なポイントとしては、「直線的な思考法」の排除であり、実際には、「経済は成長すべきものである」というような短絡的な考え方から逃れることだと感じている。つまり、「過去100年間」を見ただけでも、「どのような商品が作り出され、また、その時に、どのような資金手当てが行われたのか?」に関して、きわめて劇的な変化が発生したことが見て取れるからである。

具体的には、現在の「デリバティブなどの金融商品」と「大量に存在するデジタル通貨」の例からも明らかなように、「100年前の金貨や自動車」などとは雲泥の差が存在することも理解できるのである。そして、このような「時代の変化」に関しては、現在、「800年に一度の東西文明の交代」が発生しているものと考えており、そのために、現在では、以前よりも、より一層、「未来予測」が難しくなっている状況とも想定されるのである。

より詳しく申し上げると、「シュペングラーの西洋の没落」や「村山節(みさお)の文明法則史学」を理解しない限り、「カーブの先の世界」が見えない状況とも思われるが、この点については、今後、「時代を先取りした人が常に成功者になる事実」が参考になるものと考えている。つまり、「時代の先駆者」と「一般大衆」の関係性のことでもあるが、今後の注目点としては、「これから想定される世界的な金融大混乱」に対して、「人々が、どのような対応を取るのか?」ということであり、また、「現時点では、誰が、時代の先取りをしているのか?」ということである。

別の言葉では、「社会科学の次元上昇」に関して、「すでに次元上昇した自然科学を、どのようにして社会科学に応用するのか?」ということでもあるが、この時に役立つのが、現在の「生成AI」であり、実際には、「時代遅れの意見を排除しながら、時代を先取りした意見を選出すること」である。そして、このような行為の積み重ねにより、将来的には、現在と全く違った社会が産み出されるものと考えている。