本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.7.1

グローバル共同体とデリバティブ

6月21日に発表された「米国銀行の生前遺言」により気付かされた事実は、「グローバル共同体とデリバティブとの関係性」であり、実際には、「グローバル共同体の分裂が始まっていながらも、いまだに、デリバティブのバブルが破裂していない状況」でもあった。別の言葉では、「風船の破裂メカニズム」、すなわち、「内外の圧力差が強まった時に内部の崩壊が始まり、最後に、風船が破裂し内外の圧力差が解消される展開」そのものが、現在の「世界的な金融情勢」に当てはまっている可能性のことである。

より詳しく申し上げると、「共同体の規模拡大に伴う信用の量的増加」が、結果として、「マネーの大膨張」につながった展開に関して、今回、気付かされた事実は、「リーマンショック前後のGFC(世界的な金融大混乱)が、単に、デリバティブのバブル絶頂期を示しただけの事件だったのではないか?」ということである。また、その後の「金融メルトダウンがもたらした資産価格の急騰」、すなわち、「量的緩和(QE)による何でもバブルの発生」についても、実際には、「金融ブラックホールの内部で、デジタル通貨が、さまざまな資産価格の急騰をもたらしただけの展開」だったようにも感じられたのである。

別の言葉では、「デリバティブのバブルが、いまだに弾けていない状態のために、世界中の人々が、金融混乱の実情に気付いていない状況」とも思われるが、この時に発生したのが「バブルの先鋭化」、すなわち、「マグニフィセント7など、数少ない銘柄の価格急騰で指数全体が押し上げられた展開」だった可能性である。つまり、かつての「ニフティフィフティ」や「ITバブル」と同様に、「嚢中の錐(きり)」と言われるような状態となったものの、最後には、「真理という鋭い刃先が、バブルという袋を破る展開」のことである。

このように、現在の「世界的な金融情勢」としては、「デリバティブのバブル」が、いまだに崩壊していないために、「多くの人々が、生成AIの将来性に対して、過剰な期待を抱くとともに、デジタル通貨のバブルに酔いしれている状態」、あるいは、「実体経済だけを見て、マネーの実情を無視している状態」のようにも感じられるのである。

つまり、「実物資産の価格上昇が始まっていながらも、いまだに、多くの人々が仮想現実の世界から抜け出せないような状態」とも思われるが、今後の展開としては、「ブラックスワン」と呼ばれる大事件が発生するものと考えている。具体的には、「デリバティブのバブル崩壊」と、その後の「財政ファイナンスの実施」であり、その結果として、「人類史上、最大規模のボトルネック・インフレ」や「人類の覚醒」が発生する可能性である。