本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.7.24

トランプのMAGA

2016年と2020年に続き、2024年も、「米国の大統領選挙で、トランプ氏のMAGA(メイク・アメリカ・グレート・アゲイン)がマスコミで報道される状況」となったが、この点に関して、不思議に思うことは、「アメリカ合衆国が、何時、偉大な国だったのか?」ということである。つまり、「1980年の大統領選挙で、ロナルド・レーガンが、初めて、この言葉を使った」と言われているように、「1980年代以降のアメリカは、偉大な国ではなくなった」と多くの国民が理解している状況とも言えるのである。

別の言葉では、「エヌビディアの時価総額が、フランスのGDPを上回った」と言われるほどに裕福な国家において、多くの人々が不満を抱いている理由としては、やはり、「貧富格差の増大」が指摘できるものと考えられるのである。つまり、「現在の米国で、6割から7割の人が、その日暮らしの生活を余儀なくされている」といわれる状態は、決して、「1960年代のアメリカ」のように活気のある状況とはいえないものと思われるのである。

また、このような「国民の不満や喪失感」については、「第二次世界大戦後のイギリス」が同様の状況だったものと思われるが、実際のところ、「七つの海を支配した大英帝国は、20世紀に入り、二つの世界大戦で国力が失われた状況」だったことも見て取れるのである。つまり、「世界の覇権国家」が、イギリスからアメリカへと移行した結果として、「イギリスの没落」が顕著になり、たびたび、「ポンド危機」に見舞われた状況のことである。

このように、「帝国の興亡」としては、「ピークを付けてから約半世紀後に、いろいろな危機に見舞われる可能性」が指摘できるようだが、この理由としては、「防衛費の急増」などが挙げられるものと考えている。つまり、「財政危機に見舞われ、いろいろな金融政策が駆使されるものの、最後に、財政ファイナンスに訴える状況」のことでもあるが、今回は、「ポンジ・スキーム」とも揶揄される「現代の世界的な金融システム」に関して、「紙幣の増刷以外に、信用供与の方法がなくなりつつある状況」が指摘できるものと感じている。

つまり、現在は、世界全体が「1600年前の西ローマ帝国の崩壊時」と似たような状況のために、「これから、どのような金融大混乱が世界を襲うのか?」について、世界各国で危機感が噴出している状態とも言えるのである。しかも、このような状況下で、「アメリカだけが、再び、偉大な国になることを目指す」というようなスローガンを掲げた大統領候補が、世界のマスコミを賑わせている事実は、「世界全体の分裂」を促進させるとともに、「世界の金融」を破裂させる効果があるようにも感じている。