本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.8.5

買い手の消滅危機に見舞われた日本国債

日銀による「追加利上げ」と「量的引き締めの開始」の結果として、「世界の金融市場は、一挙に、大混乱に陥った状況」とも思われるが、この点に関して、現在、必要とされることは、「金融混乱に関する正確な分析」と「自分の資産に関する安全の確保」だと感じている。つまり、現在の「世界的な金融大混乱」に関しては、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊」と似たような状況のために、「既存の常識」が当てはまらない可能性を考慮するとともに、「本来のマネーである金(ゴールド)などの貴金属に投資すること」である。

別の言葉では、「西洋の先進諸国が、1991年のソ連のような状態に陥った可能性」を考慮することでもあるが、この点に関して、現在、世界的な注目を浴び始めたのが、「買い手の消滅危機に見舞われた日本国債」のようにも感じている。具体的には、「誰が、今後、日本国債を買うのか?」ということでもあるが、実際には、「今までに発行された低金利国債の価格低下により、今までの買い手が、巨額の含み資産を抱え込む可能性」が危惧される状況のようにも思われるのである。

その結果として、今後は、「最後の買い手」と呼ばれる「中央銀行」が、今後、「財政ファイナンス」を実施する可能性が高まった状況とも想定されるが、この前段階として予想される事件は、「不調な国債入札」のようにも感じている。つまり、今までは、「日銀の国債購入」により、「プライマリー・ディーラーが、安心して、国債の入札を実施していた状況」だったものの、今後は、この点に異変が発生する可能性である。

より詳しく申し上げると、「国債の買い手が消滅する危機」に見舞われたプライマリー・ディーラーとしては、「国債の入札」に関して、消極的な対応を取らざるを得なくなるものと思われるのである。そして、結果としては、「1991年のソ連」と同様に、「国債の買い手消滅に遭遇した中央銀行が、インクが無くなるまで、大量の紙幣増刷に追い込まれる可能性」が想定されるが、今回の違いとしては、その前段階として、「CBDC(中央銀行デジタル通貨)の大量発行」も想定されるようである。

ただし、「通貨の役割」である「商品との交換」の観点からは、最後の段階で、「大量の紙幣発行」と「世界的なハイパーインフレ」という結果が予想されるために、今後の注目点としては、すでに始まった世界的な金融大混乱が、「これから、どれほどのスピードで混乱度合いを増していくのか?」を理解することであり、また、「過去のハイパーインフレが、どのような展開を見せたのか?」を研究することだと考えている。