本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.8.14

FRBの独立性

今回の米国大統領選挙では、「FRBの独立性」が争点の一つとして浮上してきたと報道されているが、このことから理解できることは、「米国の大統領選挙そのものが茶番劇化した可能性」ともいえるようである。別の言葉では、「トランプとハリスのどちらが大統領になろうとも、米国の金融システム崩壊が免れない状況」、すなわち、「増え続ける米国の債務残高に関して、紙幣の大増刷以外に打つ手が無くなった状況」を表しているようにも思われるのである。

より詳しく申し上げると、現在、「FRBの独立性」を信用している金融専門家は、ほとんど存在しない状況であり、また、彼らが理解していることは、「1913年に設立されたFRBの役割」として、「マネーの大膨張」と「その過程で、国民に通貨価値の下落を気付かれないこと」が挙げられるものと思われるのである。つまり、「1913年から現在までの約111年間に、ドルの価値が約99%も減価した事実」を理解することにより、多くの人々が、「中央銀行の存在価値を疑い始めている状況」のようにも感じられるのである。

そして、このような「中央銀行に対する不信感」については、「日本」や「ヨーロッパ」などの国々でも、同様の状況であり、実際には、「誰も、中央銀行の独立性を信用する人がいないような状態」であることも理解できるのである。つまり、「過去数十年間、日銀が、政府の望みのとおりに、大量の国債を買い付けてきた状況」については、「政府や通貨に対する国民の信頼感」を損なう効果が存在したことも見て取れるのである。

しかも、今回のような「世界全体で、通貨の堕落が発生し、その結果として、大量の紙幣増刷が実施される可能性が高まっている状況」については、「貨幣の歴史」を辿ると、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊時」にまで遡らざるを得ない状況でともいえるのである。別の言葉では、今回の「世界的な金融大混乱」、すなわち、「1971年のニクソンショック」から約10年後の「1980年代初頭」から「世界的な国家財政の連鎖破綻が、中南米から始まっていたような状況」については、すでに、「既存の常識」で判断できるような段階ではないようにも感じられるのである。

具体的には、その後、「ソ連などの東欧」や「アフリカ諸国」などへと、国家の財政破綻が伝播し、現在では、「大膨張したデリバティブで守られていた西洋の先進諸国にまで、国家財政破綻の波が押し寄せてきた状況」については、「800年間も継続した西洋の『富の時代』の終焉」が近づいた事実を表しているものと想定されるのである。