本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.8.15
富の時代と神の時代(1)
金融業に従事して、今年で48年目を迎えたが、今までの期間を振り返ると、当初は、「既存の常識で判断できないような事件に遭遇しながら、右往左往していた状況」だったようにも感じている。具体的には、「1980年の金や銀のバブル崩壊」や「1980年代の日本の土地と株式のバブル発生」であり、また、「1990年代の不良債権の後始末」などのことだが、極めつけは、やはり、「2000年前後から急拡大したデリバティブのバブル」だったようにも感じている。
別の言葉では、世界的な「マネーの大膨張」に関して、根本的なメカニズムが理解できていなかったために、「1997年の信用収縮」や「2008年のリーマンショック」などを体験しながら、その後の「新たな現実」に対処せざるを得なかった状態のことである。つまり、「犬のしっぽが体を振り回すような状態」が理解できなかったために、役に立たない「既存の経済学」に振り回されていた状況でもあったが、現在では、反対に、「時間の連続性が存在するマネーの性質」を理解することにより、「未来予測」が、ある程度、可能になったようにも感じられるのである。
より詳しく申し上げると、「文明法則史学」が教える「800年ごとに発生する東西文明の交代」が、より深く理解できたことにより、「西洋的な富の時代」と「東洋的な神の時代」の実情が認識できたものと思われるのである。つまり、聖書の「あなた方は、神と富とに同時に仕えることができない」という教えのとおりに、「西暦400年から1200年までの800年間」が「東洋的な神の時代」であり、また、「西暦1200年から2000年までの800年間が、西洋的な富の時代」だった可能性のことである。
そして、この観点から理解できることは、「現在のマネー大膨張が、1600年前の西ローマ帝国の崩壊時と似たような状態」でもあるが、実際のところ、この事実を抜きにしては、「今後、どのような運命が、世界の金融界を待ち受けているのか?」が判断できない状況のようにも感じられるのである。つまり、今までの「既存の常識」に関して、内容面での大変化が発生したために、今後は、「マネーの性質」を認識しながら、「歴史の全体像」を見ることが必要な状況とも考えられるのである。
具体的には、すでに始まっている「グローバル共同体の分裂」が、「今後、どのような展開を見せるのか?」ということでもあるが、実際には、「世界的な信用消滅により、今後、数多くの小さな共同体が、世界全体で生み出される可能性」のことである。