本間宗究(本間裕)のコラム

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2024.8.22

富の時代と神の時代(3)

「村山節(みさお)の文明法則史学」では、「文明の交代には約100年の時間が必要であり、また、この時に発生するのが民族の大移動である」と言われているが、この点には、補足的な説明が必要だと感じている。つまり、「西暦376年前後から始まったゲルマン民族の大移動」に関しては、「前半の約50年間」に発生した現象が「大都市への人口集中」であり、その結果として、現在と同様に、「パンとサーカスの生活」や「少子高齢化」、あるいは、「財政赤字とインフレ」などの現象が発生したことも見て取れるのである。

しかし、「後半の約50年間」については、「西暦476年に滅んだ西ローマ帝国」という事実からも明らかなように、「前半とは、まったく逆の展開」、すなわち、「大都市における人口急減」や「信用消滅がもたらしたマネーやクレジットの残高急減」に見舞われたことも理解できるのである。つまり、「われわれが、これからの約50年間に、どのような時代を経験するのか?」を考える場合に、「西ローマ帝国の滅亡が、どのような展開を見せたのか?」が、大きな参考になるものと想定されるのである。

別の言葉では、現在、最も大切なこととして、「既存の常識を捨て去りながら、新たな時代への対応を図ること」が挙げられるものと思われるが、実際には、「共同体の規模拡大に伴い増え続けてきた世界のマネーやクレジットの残高」に関して、「今後、どのような変化が発生するのか?」を考えることである。つまり、「人類史上、初めて、単なる数字が貨幣として使われた『デジタル通貨の時代』を、詳しく検証すること」であり、また、一瞬のうちに発生するといわれる「信用の崩壊」に関して、「現在が、どのような位置にあるのか?」を理解することである。

より詳しく申し上げると、「過去100年間に、どのような変化が、世界の通貨制度や金融システムに発生したのか?」を理解することであり、実際には、「氷のような状態の金(ゴールド)から水のような状態の紙幣、そして、その後の水蒸気のような状態となったデジタル通貨への変化」を具体的な数字で捉えながら、今後の展開を考えることである。つまり、「厚い雲に覆われた状態」ともいえる「現在の世界的な金融システム」に関して、「今後、どれほどの紙幣が、雨のような状態で、世界に降り注ぐのか?」に想いを馳せることである。

より具体的には、「西ローマ帝国の滅亡」を参考にしながら、「これから、どのような事件が、世界の金融界で発生するのか?」に注目することでもあるが、現時点では、「どのような大事件が発生しても不思議ではない段階」に差し掛かった状況のようにも感じている。