本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.8.28
21世紀の戦争
「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻」や「イスラエルによるガザの虐殺行為」など、「21世紀の現在でも、世界的に戦争や紛争が起きている状況」となっているが、この事実から想起されることは、「20世紀に発生した二種類の戦争」のようにも感じている。つまり、「20世紀の前半」が「軍事力を背景とした領土の奪い合い」であり、また、「20世紀の後半から現在」は「金融力を背景とした資金の奪い合い」が発生した可能性である。
より詳しく申し上げると、「二つの世界大戦」に象徴されるように、20世紀の前半は、世界各国が、「軍事力による領土の奪い合い」を行ったものの、現在では、「戦争に対する反省」を伴いながら、「金融力による資金の奪い合い」を行っている状況のようにも思われるのである。別の言葉では、「800年間にも及んだ西洋の富の時代の最終章」として、「マネーの大膨張」が発生しており、この過程で、「西洋の先進諸国が、デリバティブの大膨張により、世界の富を奪おうとしていた状況」のようにも感じられるのである。
その結果として、「中国やロシアなどのBRICS諸国」は、「脱ドル化の為替政策」や「貴金属の買い集め」などにより、「世界的な金融面での戦争」に対応しようとしている状況とも想定されるのである。別の言葉では、「史的唯物論」の「資本主義の崩壊後に共産主義の時代が訪れる」という言葉を鵜吞みにして、今回の「ウクライナへの軍事侵攻」を、中国とロシアが共謀して実施した可能性のことである。
しかし、実際の効果としては、「今回の戦争で、世界中の人々が、はっきりとした映像により、戦争の悲惨さ、冷酷さ、そして、不毛さを再認識した状況」ともいえるために、今後は、「世界的な反戦や核兵器廃棄の動きが、より一層、高まる可能性」も想定されるのである。つまり、「20世紀前半の軍事力による領土の奪い合い」については、ほぼ完全に、人々の拒否反応が出来上がりつつある状況とも思われるが、今後の注目点としては、「もう一つの戦争」とも言える「金融力による資金の奪い合い」に関して、本格的な「終戦の時期」を迎える可能性が指摘できるものと思われるのである。
具体的には、以前から指摘してきた「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約300兆ドルの世界債務残高」が完全崩壊する可能性のことだが、現在は、「米国を中心とした西洋先進諸国の国家債務残高が、これ以上、放置できない状況」であることが世界的に認識されるとともに、「金融敗戦」ともいえる「世界的な金融システムや通貨制度の崩壊」に対して、多くの人々が準備を始めた状況のようにも感じている。