本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.9.3
通貨発行益と税金(3)
「通貨制度の寿命は約50年」というケインズの言葉のとおりに、「1971年のニクソンショックから始まった信用本位制と呼ぶべき通貨制度」は、現在、終焉の時を迎えているものと感じている。つまり、「1971年8月15日」は、「一時的な金とドルとの交換停止」が宣言されるとともに、それまでの「金(ゴールド)」を本位とした通貨制度から、「政府や経済成長などへの信用を本位とした通貨制度」へと移行した時だったことも理解できるのである。
別の言葉では、18世紀から始まった「資本主義の時代」の最終段階で、「人類史上、未曽有の規模のマネー大膨張」が発生したわけだが、この時代を生きた我々の使命としては、「時代の証言者の一人」として、「どのようなメカニズムが働いたのか?」を考える必要性があるものと考えている。あるいは、「これから、どのような時代が訪れるのか?」を理解するうえでも、「1971年から現在までの約53年間に、どのようなことが起こったのか?」を冷静に検証することが求められている状況のようにも感じられるのである。
ただし、この点に関して必要不可欠なことは、「既存の経済学の放棄」だと考えているが、実際のところ、「投資の実践」において、「アメリカの大学で学んだ経済理論」は、ほとんど役に立たなかったことが思い出されるのである。そのために、私自身としては、「1980年代に発生した日本のバブル」について、「どのようなことが起こったのか?」を具体的な数字で検証することから始めたが、現時点での感想としては、「1971年から1997年までの26年間」と「1998年から現在までの26年間」が、ほとんど同じパターンを繰り返してきた可能性が挙げられるものと考えている。
より詳しく申し上げると、「民間金融機関のバランスシート大膨張」に関して、「前半の26年間」が、「日本の金融機関を中心とした残高膨張」だったものの、「後半の26年間」については、「先進諸国の金融機関がオフバランスで残高を大膨張させた展開」だった状況のことである。しかも、規模の面では、「後半が前半の約30倍」という状況だったために、現時点では、これから想定される「中央銀行の本格的なバランスシート大膨張」が気にかかる状況とも言えるのである。
つまり、1998年には実施されなかった「紙幣の大増刷」が、今度は、世界的な規模で実施される可能性が想定されるために、今後の注目点は、「どれほどの規模で、インフレの大津波が世界を襲うのか?」ということだと考えている。