本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.9.16
ソ連化の様相を見せ始めた中国経済
今回の「中国バブルの崩壊」に関しては、以前から、「1990年の日本と1991年のソ連を合わせたほどの惨状を呈するのではないか?」と指摘してきたが、現時点では、「1990年の日本における不動産バブル崩壊」と同様のメカニズムで産み出された「不良資産」が、「1991年のソ連崩壊」を引き起こした要因に変化しつつある状況のようにも感じている。つまり、「民間銀行」のみならず、「中央銀行」や「政府」においても、「資金的なひっ迫」に見舞われ始めており、その結果として、「CBDC(中央銀行デジタル通貨)の大量発行」や「紙幣の増刷」などに訴えざるを得なくなっている可能性のことである。
別の言葉では、「デリバティブの大膨張により時間稼ぎができた西洋諸国」とは違い、現在の中国は、急激な財政危機に見舞われるとともに、この事実を認識し始めた国民が、一斉に、貴金属や食料品などの購入に殺到し始めた可能性も想定されるのである。つまり、現在の中国は、「PPI(卸売物価)が低下しながらも、CPI(消費者物価)の上昇が始まった状況」といわれており、このことは、「景気の低迷と税収の激減により、国家の資金繰りに問題が出始めた状況」のようにも感じられるのである。
より詳しく申し上げると、「不動産バブルの後始末に悩まされた1990年代の日本」と同様の状況でありながら、「1991年のソ連」と同様に、「デリバティブ大膨張の恩恵を受けられない状況」のようにも思われるのである。そして、結果としては、「インクが無くなるまで人民元の増刷を迫られる可能性」も想定されるが、実際には、「その前の段階として、米国債の大量売却などが実施される可能性」も考えられるのである。
つまり、今回の「中国経済がソ連化し始める可能性」については、「西洋諸国も同様の展開を見せる可能性」も想定されるために、我々も、決して、予断が許されない事態のようにも感じられるのである。あるいは、「西洋諸国の方が、デリバティブのバブル崩壊により、中国よりも、より大きな被害を受ける可能性」も想定されるために、今後の「世界各国の中央銀行の動向」については、今まで以上の注意が必要な状況とも想定されるのである。
具体的には、「CBDC(中央銀行デジタル通貨)の大量発行」や「紙幣の大増刷」で、「資金的なひっ迫」が賄われる可能性のことだが、この時の注意点としては、「政府や中央銀行、そして、通貨に対する国民の信頼」が失われた時には、「大量の資金が、一斉に、貴金属や食料などの実物資産に殺到する展開」、しかも、「世界で同時に発生する可能性」が指摘できる状況のようにも思われるのである。
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