本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.9.21
FRBの利下げ
「米連邦準備制度理事会(FRB)は、9月18日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を5.25%~5.5%から4.75%~5.0%へと、0.5%引き下げることを決めた」、そして、「FRBの利下げは、新型コロナウイルス禍を受けて臨時会合で政策金利を一気にゼロまで引き下げた2020年3月以来、4年半ぶりとなる」と報道されたが、この点には、大きな注意が必要だと感じている。
つまり、現時点の市場の理解としては、「実体経済の悪化を理由にして、米国の利下げが実施された」ということのようだが、実際には、「米国の財政破綻」に関して「時間稼ぎ」と「問題の先送り」のために、今回も、「国民の目くらまし」が実施された状況のようにも思われるのである。別の言葉では、時間の経過とともに増大する「米国の国家債務残高」から「国民の目」を逸らしながら、本丸である「デリバティブ」の問題が明らかにならないように目論まれている可能性のことである。
より詳しく申し上げると、現在、「35.3兆ドル」にまで達し、また、「3ヶ月で1兆ドルのペースで増加中」といわれる「米国の国家債務残高」に関して、今までは、「デリバティブを利用しながら、国債価格の暴落を防いできた状況」だったものと想定されるのである。別の言葉では、今まで、「実体経済の問題点」や「インフレやデフレの議論」などに、マスコミの意見を集中させながら、時間稼ぎが図られてきたものと思われるが、現在では、「時間の経過とともに、多くの人々が、問題の本質に気づき始めている状況」のようにも感じられるのである。
そして、この点については、「BRICS諸国の脱ドル化」、すなわち、「中ロなどの国々が、米国債を売却して金(ゴールド)や銀(シルバー)などを買う動き」が、世界的に顕著になり始めていることも見て取れるのである。つまり、今までの「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」、あるいは、「デリバティブやデジタル通貨」に対する信頼感が、世界的に激減しているために、現在では、「金融システム崩壊後の新たな通貨制度」を模索する動きが、世界的に始まっている状況とも考えられるのである。
具体的には、「商品バスケット本位制」や「金本位制」などが復活、あるいは、新たに創設される可能性のことだが、この時の注意点としては、「貨幣の歴史」を研究しながら、「現在の通貨制度が、どのような経緯で出来上がったのか?」を、よく研究することのようにも考えている。